星と人生を取り戻すための集中力(スローライフ)

 

登山家ガストンレビュファは「星と嵐」でこう言っている。

現代世界においてもはや実在するものは皆無に等しい。
夜は消され、寒さも風も星も追いやられた。
すべては中和され、人生そのもののリズムが曖昧になった。

現代の安楽な暮らしが、生きる実感を削いでいる。
ネットも携帯も液晶テレビもない1954年にガストンが
書いた当時ですら、その感があったのだから驚き。
生活がネットと二重になってしまった現代はなおさらだろう。

人生があやふやになっている。
すべての物事がそのまま流れすぎて、
心にはなんの痕跡も残さない。
スマートフォンは創造性を養う効果もある「孤独」や「退屈」を追い払い、
あらゆるところに現れるマルチタスクが人の心を分裂させる。

かくゆう私も、スマートフォンは持っていないけれど、
私は押し寄せる情報の波や過去や未来に
つき動かされて、夢遊病のように生きていることが多い。

だけれども、それを取り戻す方法がある。
それは「集中力を持って生きること」だ。
マインドフルネスという言葉をよく聞くけれど、
それはつまり、しっかりと集中して生きる、ということだ。
その逆が、さまざまなことに分散して散漫に生きることで、
現代社会は、この罠がテクノロジーになって
たくさん張り巡らされている。

ゆっくりと夜空を眺めたのはいつが最後だろうか?
星はつねにあるけれど、しみじみとその美しさを眺めない
人の中には存在しない。
何気ない風景が、しっかりと集中して見れば美しく輝く。
逆に、悩みの中に囚われている時は、どんな素晴らしい山々を
眺めてもその美しさは心に入ってこないだろう。

私は最近、ゆっくり丁寧に本を読むというスローリーディングと
出会って、読書体験が激変して豊穣になった。
それに生活においてもいえることだ。

ファーストに、一見すると効率がよくみえる「ながら生活」をして
生きると、こなせることは増えるけれど中身がスカスカになる。
だからスローライフで行こう。
それは1つ1つ、集中して生きることだ。
それが食事の味を蘇らせ、テレビをみるならばテレビを面白くし、
目の前にいる人のことをわからせる。
成し遂げることの数、TODOリストはあんまり消化できないかもしれないけど、

人生を失わずにすむ。
実感をもって生きることができる。

 

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Category: ヨガ的かんがえ, 読書

- 2016年1月20日

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