ある研究者の死と瞑想1日2時間

ある男がいた。
彼はさまざまな流派の瞑想法やヨガ、気功を学び、
スピリチュアリティに関する奥深い知識を得た。
この世のある行法で知らないものはない。
図書館のような知識を持った男は死に瀕していた。

死ぬぎわになり、人生を回想して、男は後悔の涙を流していた。
男はあらゆる知識を収集した。
しかし、分析や研究にかまけて実践を疎かにして、
死につつある今、自分が瞑想の成果をまったく得ていないことを
ひしひしと感じた。
あらゆる素晴らしい教え、瞑想。
実践を疎かにした男にとってはそれはペーパードライバーのゴールド免許で、
なんの助けにもならない雑学となってしまった。
雑誌を読むように、教えは読み捨てられて、長い人生の終わり
教えは具体的な力を持たない。
記憶が崩壊していく、肉体が崩壊していく、次なる転生にむけてのカウントダウンを
感じながら、男は自分の来世がどうなるのかさっぱりわからないことを涙した。

この世には仏教やヨーガの教えの存在すら知らずに死んでいく人がいる。
それを考えると今生は貴重な機会だった、そして、自分はそれを無駄にしてしまった。
来世にまで継続するような洞察智を瞑想で得ることができなかった今、
自分の人生は再び不確実性の渦の中に巻きこまれていく。
そんな男が、若かりし日の自分にむけてメッセージを伝えようと、
奇跡的に叫び声をあげる。
「今、この時を無駄にするな!」

というのが、私が「危機」で使っているイメージだ。
「ツールズ」というイメージでハイヤーフォースというエネルギーに
繋がる心理療法には「危機」というツールがあり、それは実践する
意志力を呼び起こす。

さきほど書いた知識だけあるペーパードライバーは、
ダラダラと私が生きていたら起こりうるであろう出来事だ。
知識だけ集めるだけ集めて、湿った薪を集めすぎて、
乾かす間もなく火をつけることもなく、凍え死んでしまうように
死ぬだろう。

瞑想をしなければいけないという危機感。
最低でも1日2時間瞑想しないといけない。

最近、瞑想が停滞している。
もっとはっきり言うと、2010年にゴエンカ式の
ヴィパッサナー瞑想のリトリートに参加して以来、
とくに進歩していない。
リトリートという特殊な環境で覗き見た世界から
停滞して久しい。

いつしか瞑想は現状維持が目標になってしまった。
家族がいる仕事がある時間がない。
そんな言い訳をして、瞑想は一日30分くらいに減少していた。

悪循環だ。
瞑想にかける時間が少ないから、瞑想の成果が得られない。
瞑想の成果が得られないから、手応えを感じなくて
なんとなく義務的に瞑想するだけになる。

なんの成果も得られなくてもいい。
だけど、一日2時間、瞑想に時間を投資する。
私はよく考える人間だ。
これは社会を生きる上では思考力は有利に働くけれど、
瞑想をするには不向きだ。
瞑想劣等生の私。
ならば、最低でも1日2時間の瞑想という努力を
しなければいけない死んでも死にきれなくなるだろう。

私の理想は、瞑想の成果である洞察智が得られなくても、
「やることはやった、出来る限りやった」と
刀が折れて、矢を打ち尽くして、すべてを使い尽くした戦士の
ように死んでいきたい。

そういう思いで最近は1日2時間をノルマに瞑想している。

病気や仕事の関係で出来ない日もあるけれど、
成果は少しづつでていきている。

といっても、そんな大きなものではない。

脳というコンピューターのメモリが増量されたみたいに
頭の回転が早くなった。
意味もなく、なんとなく心が明るくて楽しい。

そんな小さな成果でも、励みになる。
いろいろとわかることも増える。

死ぬまであと何年あるのかわからない。
出来る限り瞑想していけば死ぬときに後悔しないと確信している。

 

 

 

 

おすすめの心理療法。
ぜんぜん話題になっていないけど、凄くいい本。

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Category: 瞑想, 読書

- 2017年3月16日

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