そのポーズ、一生できません!のヨガ解剖学

ヨガに解剖学が必要だなんて思わない。
自分の体を感じるセンスがあればいい。
教えるために必要だ、という人もいるけれど、
ヨガを習う生徒さんも生きた人間だ。
自分の体を体感できるのなら、体感で改善していって
もらえばいい。

それでも唯一「これは知っててよかった!」
感激した解剖学がある。
それはポールグリリー先生のDVD「ヨーガのための解剖学」だ。
革新的なことを言っている。

それは
「人の関節はそれぞれ生まれながらにして可動域が違う」
ということ。

とても丁寧なDVDでそのほかいろいろなことを
教えてくれたのだけど、一番私の人生を変えたのはその事実。

わかりやすい例で肘の可動域についてポールグリリー先生は説明した。
肘はまっすぐ伸ばすと、180度開く。
だけど、生まれながらに肘の関節の可動域が狭くて、
170度くらいまでしか開かない人もいる。
すこし曲がったままで完全に腕は伸びない。
生まれながらに190度開く人もいる。
腕はまっすぐ伸びる程度ではなく、反対側まで
まがる。
この差はいくらヨガをしても改善されない。
どんな練習をしても肘の関節の可動域は広がらない。
生まれながらに人それぞれ違う。

同じようにあらゆる関節の可動域は
人それぞれ違う。
ポールグリリー先生は、実物の人間の骨をみせて
その違いを説明していた。

つまり生まれついての関節の可動域によっては、
練習しても永遠にできないポーズがある。
自分の関節を破壊しないとできないポーズがある。

そう考えると、
ヨガでよくデモンストレーションされる派手な軟体人間ポーズは、
ドックショーのようなものだ。

生まれながらに均等のとれた子犬を立派に育て、審査するドックショーと、
生まれながらに可動域の広い関節の人間のヨガのデモンストレーション大会は
人間と犬という違いはあるけれど、同じじゃないだろうか?
もちろんやっている人は努力しているだろう。
でも、犬のブリーダーだって努力している。

ヨガのデモンストレーション大会の勝者は、凄いけど凄くない。
人間はみんな同じ可動域の関節を持っている、という知識しかなかったら、
「凄い!どんな練習したらあんな体になるの??」と思うだうけど、

生まれながらの関節の可動域が違う、という知識を持っている人は、
「ふーん」としか思わない。

そして、アンビリバボーなヨガのポーズが出来る
<生まれながらに可動域が広いヨガインストラクター>が
熱心に教えだすと悲劇が生まれる。
いまからするのは仮の話だけどほぼ実話である。

<生まれながらに可動域が広いヨガインストラクター>のスタジオで、
習う人は
「練習すれば先生みたいになれるかも」
と期待して必死に練習する。
<生まれながらに可動域が広いヨガインストラクター>も、

「私が練習して出来たんだから、みんなもできる!
練習!練習!練習!いつかできる!

を合言葉に熱心に教える。
「難しいポーズを目指す」
これはヨガスタジオに通う人の一般的な目的だと思う。

<生まれながらに可動域が広いヨガインストラクター>のプロフィール写真は
難しいポーズをしている姿ばかりだからだ。
「こんなポーズができますよ」というのがアピールポイントだ。
暗に「私に習えばこうなれますよ」と言っているようなものだ。
「君たちには永遠に無理だけど、私はこんなポーズができる」
という意味をこめた写真ではないだろう。
それじゃ誰も習いにこない。

ここまでちゃんと読んでくれた人はもう
「人それぞれ関節の可動域が違う」ということを知っている。

しかし、その<生まれながらに可動域が広いヨガインストラクター>
は善意からポーズをしている生徒さんに指導する。
「みんなできるよ!」
と強い力でぐいぐいと押したり引いたりするアジャストをする。
あくまで善意からである。
<だれだって努力すれば自分と同じことが出来る!>
という信念だ。
これは夢のある考え方だけど、体には優しくない。
<生まれながらに可動域が広いヨガインストラクター>と
生徒さんの関節の可動域は大きく違うため、
同じようにしようとすると関節は壊れる。
怪我人が続出する。
健康のために始めたヨガで怪我をする。
悲劇だ。

生徒さんは熱心に指導してくれたインストラクターに、
怪我のことを言えず、ひっそりと練習をやめる。

私のクラスに以前きた人でも
「他の先生のアジャストで怪我を
したんだけど言えない」
という人が何人もいた。
アシュタンガヨガの正式指導者で、善意溢れる人だけど、
影で「クラッシャー(壊し屋)」と言われていた人を知っている。
アジャストで怪我をする、はよく聞く話だ。
ヨガで怪我するなんて馬鹿らしい。

私は人それぞれ違うことを知っている。
凄いポーズが出来ることが凄いことだとも思っていない。

そもそもそんなポーズする必要もないと思っている。

「凄いポーズができる=上級者」という価値観は持ちあわせていない。
正しいポーズというものもない、と思っている。
その人に合わせた形がある、と信じている。

このDVDに出会っていなかったら、
もしかしたら、今でも「難しいポーズ=上級者」という
価値観の輪から抜け出せていなかったかもしれない。

知らない、ということは恐ろしい。
知らなければいけない唯一の解剖学は
「人それぞれ関節の可動域が違う」だ。

 

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いい時代だ。

 

 


Category: エッセンシャルヨガ, ポーズ練習の起源

- 2015年2月19日

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