ケトルベルで強くなる!(武術との繋がり)

後藤俊一さんの「ケトルベルトレーニング」を読んだ。
私のバイブルである松下タイケイさんの「身体を芯から鍛える!ケトルベル」
とまた違った視点を与えてくれるかな、くらいの軽い気持ちで
読んだ本だけど、個人的にとても得るところがあった。

まず、最初に断っておくと、
本作は正直にいうとかなりチープな作りで、写真が一切なく
後藤さんの手書きのイラストと文章だけという潔さだ。

しかし、この本に含まれているエッセンスは私を大いに
刺激し、いままで「なんとなくこんな感じかなぁ」と
思っていたことがかなりハッキリした。

中でも一番の知識は、ケトルベルを世に広めた立役者
パベル・サッソーリンが、ケトルベルのスイングという
動作に込めた武術的にエッセンスへの気づきだ。

スイングは、空手のサンチンの型をもとにして作られている

今までぜんぜん気がつかなかった!
私は空手のサンチンは知らない。
けれど、その兄弟武術ともいえる
中国武術をかじったことがあって、
脳内で一気に、武術とケトルベルが繋がった。

ケトルベルスイングという振るという基本動作は、
下半身の力を上半身、手に伝えるという、中国武術の
力を溜める(蓄勁)と解放する(発勁)からなる
打撃に酷似している。

ためしにスイングの体感を思い出しながら、
川掌(掌で打つ)の型をやってみたら、いままでの自分比
120%の威力で、衝撃に肘が耐えられずに一発で痛めて
しまった。
知らず知らずのうちに打撃力が上がっている!

八極拳では、槍のトレーニングで同様に打撃力と
体幹の安定力が増すのだけど、
スイングは姿勢がちょっと違うだけで、
根本の力を出す哲学は同じだ。

ケトルベル=ロシアの筋トレという概念に囚われていた私には、
これがまったく見えなかった。
後藤さんの本で目が開かれていなかったら、たぶん
ずーっと気づかなかっただろう。

ケトルベルスイングをすれば、体全体のちからを手に集中して
力を発する打撃力が強くなる。
これは武術だけではなくて、どんなスポーツのパフォーマンスも
あげる効果がある。

野球のピッチャーだって、下半身の力で投球をおこなっている。
松下タイケイさんがケトルベルを称して「動作を鍛える」と
書いていた意味が、鈍い私には後藤さんの本を読んで
ようやく気づいた。

そして、ケトルベルスイングが最重要だということも。

スイングは2つの動作でなりたっている。
下半身の力をケトルベルに伝える振り出す動作と、
振り出されたケトルベルを体幹の力でしっかりと
制御するという動作だ。
「力を発する」
「体を安定させる」
という運動にとって重要な2つの力だ。

もし私が総合格闘家だったら、
「打撃力」と相手の力に耐える「体の芯の強さ」は、
ぜひとも欲しいだろう。
これは、腕が太いとかよりも、直に強さに
結びつく要素だ。
スイングはこの2つを直に鍛える。

そういえば昔、武術をしていた時、ウエイトトレーニングを
やりこんだ筋肉ムキムキの人の体を押したことがある。
その時、見た目と裏腹に弱くてびっくりしたことがあった。
今思えば、その人はベンチプレスなど体幹をほとんど鍛えない
トレーニングで腕と胸をムキムキに鍛えただけだったのだろう。
だから体幹が弱くて、私に押されるとヨロヨロと崩れた。
まさにチェーンは弱い所から切れる、だ。

ケトルベルスイングは全身を連動させるので、特定の筋肉に
効かないから、ボディビルダーのようなムキムキの体には
ならない。
しかし、あらゆる競技に対応できる直の強さが鍛えられる。
そう考えると、ケトルベルは最強のトレーニングなのでは
ないかと思う。

ロシアの軍隊や、アメリカのシークレットサービスに
取り入れられているのは伊達ではないのだ。

 

 

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Category: ケトルベル

- 2018年5月31日

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