「体の感覚は苦」ヴィッパサナー瞑想2010京都3日目

3日目。
このコースでは本が読めない、メモもできない。
(だからこの記事は、ほぼ記憶が頼り。コースが終わった途端に主要な出来事を
すべてメモした)
コースマネージャーや先生以外とは喋る事すら禁止。

情報は音源として流れるゴエンカ先生の講話と、
そして、自分の瞑想体験のみ。

私の場合は、読書が趣味でそれほど山ほどヨガやら仏教やらの
本を乱読している。
考えごとをしていると、自然とその読んだ内容が思い浮かんでくる。

この日は苦しみの中で座っていて、
<感覚の苦>というものの正体が腑に落ちたのです。

これはよくよく考えると小池龍之介の本に書いてあったこと。
この日はその考えが、実感として理解できました。

「すべての感覚は苦である」

楽という感覚は存在しないということ。

体の感覚を観察していて、あっと思う。
体の感覚は電気的刺激の一種類しかない。
小池龍之介さんは<ビリビリ>と表現していたけど、
まさにそういう感じのビリビリしか存在しない。

軽く触れられる感覚は<軽いビリビリ>
殴られる感覚は<強いビリビリ>

その電気的刺激のバリエーションで、さまざまな痛みが
生まれる。そして、それは苦しかない。

たとえば、私はいま瞑想していて足が痺れている。
背中も痛い。いますぐ立って走り回りたい。
ただ座っている、、、というだけで、どんどん電気的刺激が
強くなっていき、それは<苦痛>というレベルまであがる。

苦しい、、苦しい、、、苦しい、、、、

そして、瞑想の終わりを告げる鐘がなる。

やったー!とたちあがったとのきの開放感。
足と伸ばしたときの安楽な感じ。

楽の正体とは、大きな苦が消え去ったときの落差から
生まれるだけのものだ。

毎日苦しい思いをしていると、そのことが実感として理解できる。

たとえば、
2時間座ったあとの苦しみのあとのあの開放感、楽の感じを、
2時間の苦しみ無しで再現してください、、、というと
それは無理。

できたとしても
「2時間座った後のたまらない開放感はあんな感じだったなぁ」という記憶を思い起こすことでしか、楽の連想はできない。

単独で楽だけ存在することはありえない。

2時間以上も走り続けたあと、地面に倒れて、
やったーマラソン完走したぞー!という楽は、
2時間以上がんばって走るという苦がふっと消えることに
よっておこる。

どうやっても苦しい。

1日だらだらと寝てすごせば楽かというと、そうでもない。
横になっても1時間もすると、体が痛んでくる。
体の向きをかえたり、座り直したり。
本当に寝た状態で楽を感じるには、
体をおもいっきり使って疲労させないといけない。
疲労が深ければ深いほど、苦が大きければ大きいほど楽も大きい。
ずーっと寝ているのは苦です。
寝たきりで生活するとひどい床ずれが起きて激痛を覚える。
筋肉が弱って立ち上がれなくなる。
体を動かさないではいられない。

1日、立ったり座ったり、微妙に体を動かして、
苦しい苦しい思いをしたあとの休憩時間に楽を感じて。

すこし下世話な話になるのですが、
セックスの快楽も、男性の場合は
性欲が溜まって、それを発散したくて発散したくて
興奮してきます。
それは苦しい。
その解放が射精だ。

その快楽が強ければ強いほど、それを欲する欲望は
焼け付くようになります。

たくさんの苦しみと、そして錯覚のような快楽に
突っつかれて生きている。

昼ご飯はカレーを食べながら考えていたのですが、
すこし熱めのカレーを口に入れると、
私の舌は、その熱の痛みを避けるように動いて、
うまく食事をしていました。
熱も痛み、寒さも痛み、ほどよい痛みでないと耐えられない。
舌を観察していると、
おれはなんて、哀れな生き物なんだと思える。
空腹という苦痛、喉の渇きという苦痛を満たすたびに
感じる快楽。

皮膚が爛れて堪え難いカユミを火で炙って焼くことによって
抑えている病人、、、というどこかで読んだたとえを思い出しました。

どうしてなんにもしないことが苦痛なんだろう。

あらゆる行為をさずに退屈でいること。
退屈を避けるたらば、人はなんでもする。

そこまでして避けない退屈。
たぶんそこには、人生の基調である苦の低音が鳴り響いている
のです。

いろいろな本を読んだ寄せ集めの知識が、
瞑想を通じて、体で実感できた日でした。

情報を遮断して、瞑想1日10時間の生活。
つねに自分と向き合う生活。
ここでの学びは体験。
一番の師は瞑想だ。

4日目「もしかしてそれサマディ?」

 

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Category: ヴィパッサナー瞑想リトリート体験記, 瞑想

- 2015年2月16日

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