「しないこと」が幸福の一歩
みんなそうだと思うけど、つきつめれば私も「幸福」を
求めている。
そして、いろいろ勉強して知ったことがある。
「怠けて作りだせる幸福などない」
ということだ。
これは「幸福論」のアラン先生が詳しく書いているけど、
幸福は積極的に動いて創りだすもの。
歌を聞くよりも「歌うこと」のことのほうが幸福をもたらす。
スポーツを観戦するよりも「スポーツすること」のほうが幸福をもたらす。
ヘリコプターで山頂まで運んでもらっても、自分の足で登山した人と
同じ感動はない。
受け身の幸福は退屈すれすれだ。
けれど、積極的に行動する幸福は充実感がある。
でも、自分でなにをしたら幸福になるのかわからないという側面も
現実にある。
「これをすると確実に幸福になる行動」って？
じつのところ「絶対にみんなが幸福になる行動」は存在しない。
人それぞれだから、それは個人的に探す必要がある。
でも万人が確実に不幸になる方法なら存在する。
逆を言えば、これをしなければ深い不幸には陥らないということだ。
仏教ではそれを五戒という。
とてもシンプルなものだけど、
これを守るだけで人生のトラブルの大半は起こらない。
１，暴力を使う
攻撃的になることが体と心を蝕む。
言葉の暴力などの相手を傷つける意図は不幸の道だ。
暴力的な人ほど不幸だ。
こうも言える。
不幸な人ほど暴力的だ。
深い不幸がテロリストを生む。
イスラム戦争で独裁者は倒れたけれど、戦争の影響は
多くの人を絶望的に不幸して、テロリストの温床を
作り出した。
不幸は暴力を媒介して広がる病だ。
言葉や肉体の暴力を自分に許すと、不幸になる。
これを自覚しよう。
いまだかって「平和をもたらす戦争」はなかった。
戦争はさらなる戦争を生む。
暴力は暴力になって返ってくる。
暴力的に生きると、まわりの人は敵になる。
敵に囲まれて生きるのは不幸だ。
２、嘘をつく
その場しのぎの嘘。
確信的な嘘。
嘘も不幸の道だ。
嘘は真実でないので、維持する必要がある。
ふとした瞬間、ほころびて破綻する。
いつバレるかわからない爆弾をかかえた緊張。
気楽に生きることができない。
もっと重い罰は、嘘つきは人を信じることができなくなるという
ことだろう。
人は自分を基準に他人を判断する。
自分がこれだけ嘘をついている、ということは
他人もきっと嘘をついているだろう、という基準になる。
人は自分の心のフィルターを通して世界を感じる。
嘘つきは他人を疑って見る。
そうなるとすべての言動が疑わしく見える。
何気ない言葉を深読みし、あらぬ想像をし、
ときにはその疑いが当たり、疑惑を深めていく。
そして、嘘つきは信用できない人に囲まれた世界を生きることになる。
その世界に幸福はない。
３盗むこと
「嘘をつくこと」と同じロジックで、盗むことは犯罪として罰される側面も
あるが自分が盗む人間であることは「盗み盗まれる油断ならない国」の
住人になるパスポートだ。
盗る人間は、盗むと同時に自分の世界を油断ならない世界に塗り替えてしまう。
盗むことは幅広い。
人から搾取することも盗むことだ。
遅刻して人の時間を浪費されることも盗みに近いだろう。
４，不道徳な性
浮気をしない。これはあたりまえのことだろうけど、浮気から人生が破綻していく
人はいくらでもいる。
確実に自分のパートナーに嘘をつくことになるし、傷つけることになる。
浮気の成分を分解すると、
「不道徳な性」「嘘」「暴力（人を傷つける）」だ。
これをやりつつ無事で朗らかな人生は歩めない。
５，自分を酔わせない
お酒を飲まない、ドラッグをやらない。
ちょっと厳しいことを言うと思うけど、お酒から浮気、お酒から暴力、
お酒から嘘、、、と悪いことの入り口になる。
お酒を飲んだら、シラフでは制御できることもできなくなる。
そして、お酒やドラッグは自分の体を痛める。
この５つを守ったまま、不幸のどん底に落ちることは
なかなか難しい。
それどころか世にも珍しい紳士、淑女になれる。
言葉でも肉体的にも平和主義で、正直で信頼できる人。
こういう人が幸福になるには、なにかほんの少しの行動で
充分だ。
ブッダはこういう人のことを
「影のように福楽がつきしたがう人」
とよんだ。
自分を不幸に陥れる行動もしていないから、
軽々と行動できる。
地面に移る影が、重荷にならないように。
逆に不幸になる行動をして生きる人は、
「苦しみ」を満載した重荷をひきづって歩く人とよんだ。
五戒をどれだけ守れたか、チェックしよう。
人間だから厳密に全部守れないかもしれない。
だけど、何回失敗してもトライする。
瞑想を習慣にすると五戒を守りやすくなる。
五戒を守ると、心が汚染されないので瞑想にも入りやすくなる。
実行するのにお金もかからないし、
お坊さんに許可をもらう必要もない。
不幸の大半を回避できる術。
最高じゃありませんか。
