こうじきぬやの米麹で甘酒づくり(白山市鶴来町)

 

私が住む白山市には小さなお店がたくさんある。
鶴来駅の周辺に、昔ながらの店が並び
ここに前々から気になっている店があった。
「こうじきぬや」だ。

甘酒を家で作っている私は、
原材料となる米麹をスーパーで買っていた。
ときおり品切れがあって、
「米麹ないのか、、、」とガッカリする日が
少なからずあった。
それならば、絶対に行けば確実にある場所へ買い付けに
いくべきで、それが糀屋さんの「こうじきぬや」なのだ。
ここならば品切れの心配はあるまい。

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しかし、こういうお店が個人むけの小売をしているのかとか、
もしかしたら迷惑なのではないか、といろいろ気になる。
根が小心者の私はこういうお店に入るのは勇気がいる。

とりあえず店まで行ってみると、店内で椅子に座っている
おばあちゃんがいた。
お店の人だ!と中に入って「米麹買いたいんですけど」と
いうと
「奥や、奥におるわ」と言われた。
どうやら、おばあちゃんは何かを待っているお客さんで、
お店の人は奥にいるようだ。
想定外!

え、勝手にどんどん入っていっていいのかなぁ、と
思いつつ、きょろきょろしながら奥にいって
「すいませーん」と言ってみるけど、答えなし。
これはもう諦めよう、まったくシステムがわからないと
諦め心がむくむくと。
しかし、もう一度「すいませーん」といってみる。
そうすると、奥から

「はーい、ちょっとまっとってー」という

おじさんの声が。
足音がパタパタ、忙しそう。
とりあえず待つ、、、のだな。
依然として「どういうシステムなのこの店は」という
疑問は消えない。
いったい、どれくらい待つのか?
そして、あの店と一体化したかのような、
おばあさんはいつから待っているのか、昨日から?などなどの
疑問が雲のように湧いてくるけれど、
気長に待つことならおまかせあれ。
たとえ待ちぼうけをくわされたとしても、
瞑想者たる私には、それを糧とするスキルがあるのだ。

とりあえず座る。
ぼーっとしているように見えるけれど、じつは呼吸瞑想中なのだ。
町家の中に座って待っていると、
ロケーションの効果もあってか、悠久の時間待たされるような予感がした。
効率最優先、タイムイズマネー、翌日お届けのアマゾンプライム会員などの
言葉が霞んでいく。

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時間を刻む時計の音もしない。

5分ほどして、店の奥からご主人がでてきた。
60代くらいの気の良さそうな方で、
「重くて大変やけど」とちょっと謝るように
待っていたおばあちゃんに二袋の味噌を渡した。
「なーん、大丈夫や」とおばあちゃん。

「こうじきぬや」さんのシステムがわかった。
店頭には冷蔵のクーラーやショーケースなどなしで、
奥の味噌樽から味噌を袋にいれてもってくる。
だからすこし時間がかかったんだなぁ、と納得。
おばあちゃんが帰ると、私の番。
ご主人に甘酒を作るから米麹を、というと
いろいろ相談にのってくれて、
うーん、じゃあ初めてだったらとりあえず半分で
どうなかなと、いう結論になった。
それくらいの量でいいと思う、とご主人に言われたので、
はいそれで、とおまかせした。
そして、謎の「半分という量」を持ってきてくれることになった。
一体、何グラムなのか、そしてお値段はいくらなのか、などの
疑問はあるけれど、人の良さそうなご主人が営む昔ながらの
老舗の糀屋さんが、ぼったくりプライスを私にしかけるはずもなく、
安心して奥に消えたご主人を待つ。

半分?半分とは?と考える間もなく、
大きなお盆のようなまな板をもってご主人がやってきた。
板のうえには一枚の大きな米麹があり、
ご主人は、ヘラでそれを半分にして器用に紙袋に
米麹をいれてくれた。

なるほど、米麹は一枚のお盆型のようなまな板のような板に
伸ばされていて、その「半分」の量が
私に販売されたわけだ。

重さは760グラムほどある。
ずっしりと重い。
気になるお値段は760円。

こんなに沢山の量を買ったことがないから、
高いのか安いのかよくわからないけれど、
作っている人から直接買い物するのは、
スーパーでレジを通されるよりも充実感がある買い物だ。
高い、安いを超えて、適正な価格でちゃんと買い物した!という感じがたっぷりだ。
またここで買おうと思う。
人の良さそうなご主人が、代々受け継がれてきた製法で
作っている米麹だから間違いない。
勇気をだして行ったことのないお店を開拓してよかった。

いただいた甘酒レシピ通りに作ると、
約2.3リットル分の甘酒ができた。
甘酒は冷蔵保存して2週間以内に飲みきって欲しいとのことで、
冷凍でも保存できるから飲みきれなかったら冷凍してもいいよ、
ご主人が言っていた。

白山市の観光情報サイトによると、

江戸時代から続く糀(こうじ)店。今のご主人は6代目です。
全国的にも珍しい昔ながらの地下の石室(いしむろ)で、
糀をつくっているこだわりの店です。
お店では1折り(蒸し米1升分)1,410円で販売。
希望すればレシピももらえます。
お肉料理や野菜料理、お魚料理に使えますよ。
糀の販売は、10月から7月上旬まで。
夏は、次の糀作りのために床を上げ、
壁を塗り替えたりして、石室の維持に努めます。
囲炉裏のある家のたたずまいも素敵です。
タイミングが合えば甘酒がいただけるかも。

とのこと。

なんと7月の上旬までしか販売していないらしい。
8月9月分の米麹はまとめ買いで冷蔵保存できるもんなのか?
今度行ったら聞いてみよう。

お店情報

こうじきぬや

住所石川県白山市鶴来本町1丁目ワ102

定休日月曜(11~3月は無休)

2016年7月9日追記
米麹を買いにいったら、今季の分はもう売り切れでごめんなさいと
言われた。
これから石室の掃除の時期にはいるそうで、
販売再開は9月の末からとのこと。
それまではスーパーで売っている米麹でしのごうと思う。


Category: 食について

- 2016年6月10日

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