世界を軽く渡るためのヨガ

 

世間の目が気になる、人がどう思うか気になると
いう傾向を私は持っている。
でも、それを減らして軽々と生きるヨガがある。

それを説明するには、
まず確認しておきたい真実がある。
「みんな同じ世界を生きていない」ということだ。
たとえば同じ雨降りの日でも、楽しそうに雨降りの山々を眺める人も
いれば憂鬱そうに空を眺める人もいる。
生まれつきの盲目で、雨音だけを聞く人もいるし、
耳が聞こえなくて、無音の光景を眺める人もいる。
同じ場所にいても、世界は千差万別だ。

私たちは私達の五感で感じられるものと、
過去の経験や行動で作られた世界に生きている。
ショーペン先生は、
「人間はそれぞれ、自分が皮膚をまとっているのと同様に
自分の意識のなかに嵌りこんで、直接には自分の意識の中
だけで生きているにすぎない」と仰っている。

そんな意識の反映の世界を
どうやったら軽々と生きられるのだろうか?
それには「心を変えていくしかない」

五感、つまり体は揺らめいているものだ。
体に対してできることといえば、応急処置のような
ことしかできない。
食べてもお腹が減る。
どれだけ鍛えても老いて死ぬ。
いかに整形で若作りしても、寿命は伸びない。

でも、心の持ちようで同じ事実でも世界は変わってくる。

顔に皺が1つできただけで、この世の終わりのような
気分になる若作りさんがいる。
一方で、自分の老化を受け入れて、おばちゃんとして
明るく生きていく人もいる。

子供の将来を厳格に決めて、東大に入り
官僚になることを命じる親もいれば、
子供の個性をよくみて、一緒になって
その子の適性にあった成長を助ける親もいる。

人の顔色をみて一喜一憂する人もいれば、
自分の生き方を貫く人もいる。

軽々と生きている人と、
重々しく生きている人の違いがある。
世界に脅迫的な力を与えるものはなんだろうか。

それは「執着」だ。
執着するからその事実はパワーをもって
私達の肩にのしかかる。
若さに執着し、
子供の進路に対する自分の意見に執着し、
人の評価に執着する。

逆に、若さにも自分の意見にも、
人の評価にも執着しなければ、
世界は私たちをすり抜ける。

ヨーガスートラでは、ヨガを成功させる
2つの力のことを述べているそれは、
<実践><離欲>だ。
無執着は離欲とも言い換えることができる。

問題は、
どうしたら<離欲(欲を離れる)>できるだろう?
ということだ。

最高度の難易度の偉業だ。
もしも完全に欲がなかったら、その人は悟っている。
さいわいなことに、これは「できている」か「まったくできないか」という
100か0かの事ではないことだ。
小さい離欲を実践することもできる。
私達が目指すべきは、
すこしでも人生を軽く生きるための智慧だ。

そのための方法。

1つ。
世の中には執着できるような固定して不変のもの
などないと理解すること

自分の体から天気、他人、社会、自分の子供まで、
自分の意志で握りしめておけるものなど存在しない。
握りしめている意志や掌すらも、生命が離れれば
消えてなくなる。

なにものも所有できない。
ホテルの一室を借りた旅人のように、
部屋を利用することはできるけど、
この世のものは最終的には、なにも手元には残らないし、
手元そのものも消えてなくなる。
あなたは生まれたとき何も持ってはいなかったし、
死ぬ時も何も持っていけはしない。

この点から言えば、世界はマーヤー(幻想)であると
考える教えは的を得ている。
どれだけリアルで理路整然としていても、
実体が無いということから夢と変わりない。

2つ、
欲と苦しみはセットであると理解する。

欲には中毒性がある。
欲があると、まず最初に苦しみがある。
それが満たされたときに苦しみが消える感覚が、
快楽として記憶される。
つまり欲と苦しみはセットなのだ。

煙草を吸っていない人には、煙草を吸う快楽も
存在しなければ煙草が吸えない苦しみも存在しない。
欲がなければ無いだけ執着がないのだから、
世界は軽い。

社会的には「欲を達成していくこと」が良いことと
される。
高収入を得て、いい家に住み、よい暮らしをして、
バカンスを楽しむのが理想とされる。
「強欲は良い事だ」というスローガンもアメリカにはある。
だけど、そもそもそういう欲が無いほうが
さっぱりと軽々しく生きられる。
昔の日本人のように、質素でつつましく楽しく暮らす
のも理想的だ。

必要とする物や人が少なければ少ないほど、
世界はあなたに対する拘束力を失う。

<離欲>は幅広い実践だ。
物を減らしてみるのもいいかもしれない。
自分が必要とする最小限単位で生きて、
夢も希望も必要なくなったとき、
すこしの離欲が達成できて、人生は軽くなっている
だろう。

 

 


Category: エッセンシャルヨガ, ヨガ的かんがえ

- 2016年2月23日

コメントを残す

Your email address will not be published / Required fields are marked *