命を救ったヒーローよりも母親の小言の力

 

たとえば体重が増えたという問題を抱える人がいる。
彼は運動で痩せようと努力する。
毎日過剰にランニングをするけれど、依然として痩せない。

問題解決のために導入した運動はまったく効果を発揮しない。
今度はさらに追加して、深夜のテレビ通販でみたカプライシン入の痩せるサプリメントを注文し、お腹に巻くだけで痩せるというグッズも買ってみる。
しかし、体重はほとんど減らない。

なぜなら食習慣がぜんぜん変わっていないからだ。
ジャンクなものをたらふく食べて、コーラを飲んで
夜の晩酌は欠かさないから、運動してもサプリメントを
飲んでも、そのマイナスを消すことはできなかった。

問題解決よりも大切なことは、予防だ。

そもそも太ってしまうような不健康な食生活が
なければ過剰な運動も高額なサプリメントも必要ない。
問題が起きなければ、問題解決をする必要もない。

世界一の心臓手術の名医が友人で、いざとなったら
いつでも心臓手術してもらえる人よりも、
心臓病の気配すらない健康な人のほうが上だ。

極端な問題解決法が話題になる。
糖質制限をしてウェイトトレーニングする高額なジムとか。
でも、そもそも適正体重で筋肉もある人には用がない。

どんなに優れた問題解決法も、
問題を未然に予防することには叶わない。

運動、食事、睡眠、人間関係。
問題化するまえに未然に手を打つことは
地味でささいなことの場合が多い。
そして、その結果、問題は起きなくなるので、
予防の効果はまったくスポットライトを浴びないけれど、
本当に重要なのは予防だ。

暗い路地裏に、暴漢に襲われたときに
助けてくれたヒーローが「問題解決」だとすると、
ヒーローは命の恩人とばかりに感謝されるけれど、
「あんたそんなところ行ったら危ないからダメよ」と
アドバイスしてくれた母親の言葉は、
「しょうがないけど聞くか」としぶしぶ従った結果、
何もおきないから、まったく見過ごされる。

「腹八分目」
「嘘をつかない」
「盗まない」
「暴力的なことをしない」
「浮気しない」
「定期的に運動する」
「野菜を沢山たべる」
「ちゃんと寝る」

当たり前すぎる母親の小言みたいなアドバイスの数々を
集めた本はベストセラーにはならない。
だって当たり前だから。
でも、問題化してからの解決法の本はよく売れる。

平穏な時間には、未然に防がれた問題の数々が
埋没している。
いかに問題を未然に防ぐか。
これよりも大切なことはない。

 


Category: 生活を変える方法

- 2016年5月17日

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