自分の情報を読む

 

自衛隊でコンバットストレス教官をしている下園壮太さんの本
「心の疲れをとる技術」によると、
体が危機に対応する非常事態モードに入ってしまうと、
疲れていてもそれが「あたりまえ」になって
わからなくなる。
そして、どんどん無理を重ねてとうとう燃え尽きる。

そうならないために、軍隊がよく使う情報収集の視点を
応用して、自分をチェックする。
EEI(エッセンス エレメンツ オブ インフォメーション)
という考え方だ。
<敵がどのような活動をしているかわからない時、
相手の行動を読んでも、もしそうならどんな変化が見えるだろうと
予測し、その変化に注目して情報収集する>

自分の精神状態や健康状態をチエックするのに、
これほど客観的な方法はない。

たとえば

「部屋が乱雑になってきた」
これは心が荒んできた証拠だ。

「字が乱れている」
「言葉づかいが汚くなる」
文字にも精神状態が如実に現れる。
使う言葉にもそれが現れる。

「顔色が悪い」
健康状態は顔に現れる。

「体重が減ってきた、増えてきた」
これも自分の状態の客観的な証拠だ。

おもえば健康診断なんかで、血液検査を
したり尿を調べたり、心音を調べたりするのも、
「病気になっていたら、おこりうる変化」を
客観的に調べていると言える。

すこしづつ病気になっていったら、
違和感にだんだん慣れてきて、
自覚症状がないまま深刻化するんだろう。

客観的に自分をチエックする。
これと同じ機能をするものがヨガや仏教にはある。
戒律だ。
「非暴力」「嘘をつかない」「貪らない」
「盗まない」「性的な誤ちをおかさない」
「麻薬や酒をのまない」
これらを守りながら堕落して生きることは不可能だ。

いくら自分で「私は聖人だ」と思いこんで生きても、
これらの戒律を破りながら生きているのなら、
そうでないことが明確にわかる。
戒律が自動的に化けの皮をはぐのだ。

逆を言えば、どんな過酷な状況でも
まったく学がなくても戒律が
自然を守れる人がいたら、その人こそヨギーだ。

よくある醜聞だけど、ヨガの大先生が
弟子に暴力をふるったり、愛人にしたりするみたいな
話を耳にする。
その人が反省して、一から出直しますと
言葉でいくら立派なことを言っても、
本当かどうかわからない。
本当に変化したかどうかは行動でわかる。
言葉はアテにならないけど、
その人の行為は如実にその人を語るよなぁ。

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自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)
下園壮太
朝日新聞出版 (2013-02-13)
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Category: ヨガ的かんがえ, 読書

- 2015年7月31日

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