ヨガの次元に生きる

 

私の場合、考えることは言葉で行われている。
頭のなかでブツブツと声がする。
なにか不快なことがあると、その頭の中の声が
ひときわ大きくなり、あーだこーだと
声高に主張するけれど、
結局、不快な問題は解決せずにぐるぐると同じ所を
周り続ける。
考えることは、考えて解決することにとっては有効だけど、
世の中には簡単に割り切れない、答えがだせない問題が山ほどある。
「なんせ未来が見えないもんで」と諦めてしまえがいいけれど、
そういうわけにもいかず、延々と考え続けることになる。
これを「悩んでいる」という。

こうして世の中の問題を考え抜く態度が深刻になると、
考えは、現実から離れていき、
行き着く先は「わかっちゃいるけど出来ないよ」
という空論の世界だったり、
「あの人は最低の極悪人だ!」という極論だったりする。

「ヨガの次元に生きる」ことはこれの対極にある。

「言葉」は大切だ。
頭の中を駆け巡る言葉が汚染されていて、
汚い言葉ばかりだと、心も汚れていく。
言葉は、感情や記憶に繋がっているから、
汚い言葉は、ネガティブなものを揺り動かす。
だけど、言葉は表層だ。
言葉だけではなんの力もない。

大っ嫌いな人に「好きです」と言っても、
そんな嘘は顔つきを見れば一発でばれてしまう。
なんでばれるのかといえば、
体に嫌悪感が出てしまうからだ。

言葉よりも、体の言葉「ボディラーンゲージ」の
ほうが雄弁だ。
同じように、言葉よりも体の中をかけめぐる
エネルギーのほうが重要だ。

たとえば呼吸に意識を向ける。
たったそれだけのことで、ヨガの次元で生きることに
なる。
呼吸は言葉が生まれる前のエネルギーの世界につながっている。
感情のエネルギーが暴走する中で、思考に意識をむけても
言葉は表層すぎて、問題解決にはならない。
だけど、遠回りでも呼吸に意識をむけて、エネルギーの世界と
繋がって、安定させることで、ようやく思考は有効に動き出す。

緊張する場面で「ビクビクするな!」と自分に言い聞かせるよりも、
姿勢をしっかりと正して、深呼吸するほうがよほど自分を
落ち着かせる力がある。

考えすぎて眠れない夜は「考えちゃだめだ!」と
「考えを打ち消す考えを考える」よりも、
呼吸に意識をむけて、もっと奥深い命の世界に触れると
思考の力は弱まっていく。

ヨガは全体的なものだ。
体だけのものでも、心だけのものでもない。

仏教には「歩いているときは歩いていると感じ」
「食べているときは食べていると感じ」あらゆることを
ありのままに感じていく生活瞑想がある。

これは昔「こんなことしていたらアホになるんじゃ?」と
思ったけど、歩いているときは歩いている感覚というリアルな世界を
、食べている時は「食べている」という概念ではなくて、
食べている感覚を感じるというのは、
無駄な妄想をカットするので、とてもパワフルだ。
こういう風にシンプルにあることができると疲労感がとても少ない。

考えることは問題じゃない。
むしろ、リアルな肉体やエネルギーの世界を感じないことが
問題だ。
本当の考えはそこからやってくる。

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Category: エッセンシャルヨガ

- 2016年2月4日

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