地上最後の刑事

 

あと6ヶ月で隕石が地球に墜落して、
滅んでしまうことが100%確実になった世界。
新任の刑事のパレスは、
この世界ではありきたりになった首吊り自殺の
現場に立ち会うところから物語は始まる。

あと6ヶ月で世界が滅ぶというのに、
刑事はこれが自殺に見せかけられた殺人であると
疑い、ひとり捜査を開始する。

世界が終わるというパニックの話かとおもいきや、
静かなタッチで描かれる世界と人物。
読後は、不思議な感覚があった。

私の住んでいる世界の地球にも、
静かに隕石が接近しているような感覚。
みんなこの地球が永続すると思い込んでいるけど、
もしかしたらそうじゃないかもしれないというゆらぎ。

こういう不思議な印象を残すことが
できたのだから、小説としては大成功だろう。

「地上最後の刑事」は一作目で、
次が破滅まで3ヶ月に迫った世界を描く
「カウントダウンシティ」
そして、次が、
「世界の終わりの7日間」に続く。

うむ、これは次が読みたい。

空想する。
地球が終わる日は必ずくる。
形あるものが滅びるのは、形になった時点で
組み込まれている確実な運命だ。
その時、最後の人類はどう過ごすんだろう。

私がもし「あと6ヶ月で世界が滅ぶ世界」に
生きていたとしたら。
家族で静かに田舎で野菜でも作って静かに生きるだろう。
いまよりも、もっと瞑想をするだろう。
、、、、まあ、あんまり今とあんまり変わらない気もするけど。
だとしたら、私は理想の人生を生きていると言えるのだろう。
外からはそうは見えないかもしれないけれど。

次回作の「カウントダウンシティ」では、
刑事でなくなったパレスが、知人の夫を探す旅にでる。
元刑事パレスのやりたいことは「捜査」
やりたいことが「バカンス」や「遊び」であるとは限らない。
なんにも無いように見える人が、本当に虚無で充実感のない
人生を生きているとは限らない。

 

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ベン H ウィンタース Ben H. Winters
早川書房
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Category: 読書

- 2016年1月24日

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