仕事を好きになる

 

 

私の知り合いに漫画家志望の人がいる。
18歳の頃に漫画家を夢見て上京して、
数年してから東京に合わずに帰郷してきた。
それから自宅で漫画家をめざしてがんばっている。
数年前に出会ったときは、
なかなか報われなくて、精神的にもかなりまいっている
様子だった。
漫画家になれる可能性はゼロじゃないけど、
かなり難しいと思った。

1,「夢を仕事にする」は最難関だ。
漫画家を例にとれば好きなことで生きる席は、定員が少ない。
雑誌で連載がスタートしても、
鳥山明や尾田栄一郎のようなモンスター級にヒットする人と、
あっという間に消えて行ってしまう人にわかれる。

ここまで極端じゃなくても、好きを仕事にする世界は、
役者でも、ミュージャンでも、作家でも、アイドルでも、
スポーツ選手でも、
多勢の有象無象と、飛び抜けたモンスター級にわかれる。
ナシーム・ニコラス・タレブの「ブラックスワン」で描かれた
「果ての国」に属する世界なのだ。
そこには身長が5センチの小人(売れない人)も生息していれば、
身長200メートルの巨人も(売れる人)も生息している極端な国で、
次にどう変わるのはまったく予測ができない。
こういうジャンルの世界を目指すことを「夢を追いかける」という。

子供がこういうジャンルの夢を追いかけると言い出したら、
私は「よし、じゃあ期間限定にしてかけてみたら?
たとえば28歳までとか」とリミットを決めるアドバイスをするだろう。
そこから先はそれを趣味にしてしまえばいいと思う。
世間的には注目されなくても、自分が好きなことに趣味でもいいから
関われるのは幸福な生き方なのではないか。
まったく何も没頭できる趣味がない、という人に比べると
人生はずいぶん違う。

本などで「好きを仕事にする」ということを言う人は、
かなりレアな人だと思っていい。
「好きを仕事にしようとして失敗した人」の本はないだから。

そして、次に「適性を仕事にする」だ。
自分の適正に合った仕事を探すのは「果ての国」で
夢を叶えるよりも簡単だ。

たとえば人と関わることが好きな人だったら営業とか、
黙々と作業するのが得意な人はなにかを作る仕事とか、
体を動かすのが好きな人は肉体労働とか、
「果ての国」の席の少なさに比べると、ここには普通に席が
あり、夢みていた仕事ではないかもしれないけど
社会的に必要とされる仕事はたくさんある。

仕事だから楽しくてしょうがないということは
ないけれど、そんなにも大きなストレスを感じることなく
一日の仕事が終われるのなら、それはあなたに合った仕事だ。

そして、一歩積極的に生きるとすれば、
「やっている仕事を好きになる」という道がある。

好きを仕事にする、夢を仕事にするは難しいけど、
やっている仕事を好きになれば、結果的に
「好きを仕事にしている」ことになる。

自分で創意工夫して、仕事の好きな面に目をむける。
仕事に没頭する努力をする。
そうすればいつのまにか「好きを仕事にしている」
自分に気づくだろう。

結局「好きなこと」って「能力があること」なんだ。
絵が下手な少年が漫画家を目指すわけがない。
仕事の能力がつけばつくほど「能力がある」から、
その仕事が「好きになっていく、得意になっていく」

自分の適性に合ったジャンルで、能力をつけるのは
それほど難しくない。
夢を叶えて「好きを仕事にする」よりも、
かなり可能性の高い「好きを仕事にする」やり方だと思う。

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Category: 生活を変える方法

- 2016年1月4日

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