酔っぱらい対応のエッセンス

 

世の中には酒癖の悪い人がいて、
その人が店で飲むとまわりの人が迷惑する。
そうなると、その酔っぱらいを店外に出さないといけない。
その酔っぱらいは同僚かもしれないし、お客さんかもしれない。
あなたもいつ酔っぱらいに対応するかわからない。
私も最近、たちの悪い酔っぱらいに対応する機会があった。
経験としては「もう勘弁して欲しい」だけど、
そこから得た「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の
教訓があるので書いておく。

対応した酔っぱらい仮名Aさん。
泥酔して、同じ会話ばかりする。
大声で怒鳴る、人の胸ぐらを掴むなどする
肉体派の酔っぱらいだ。
体も大きく、筋肉モリモリで危険。
大声で叫ぶゴリラのようだった。

結果的に、この人をうまく店外に出して帰ってもらうことに成功した。
周囲の人は私が説得したと言ってくれた。
説得というと言葉だけで、どう喋るかがフォーカスさせるけど、
かなり総合的なスキルだ。

その時は必死だったけど、無意識にしていたことがある。
のちに落ち着いてその当時の状況を振り返っていると
目標といつくかのスキルが浮かび上がってきた。

目標
「危険な人格を刺激せず抑圧し、友好的な人格をださせる」

やるべきことはこれだ。
私は一人の人間の中には、沢山の人格があると考えている。
「分人主義」や仏教の「無我」に影響を受けている。
同じ肉体の中に同居する「危険な人格」を刺激せず抑圧し、
だれの中にも宿る「友好的な人格」を表面にださせる。

厳しく力づくでやるという方法は、
Aさんのような筋肉ゴリラのような人間の場合、
危険な人格に火に油を注ぐことになるし、
もしも弱い人でも、あとから恨まれる。
ヨガの「非暴力」の実践。

1,危険な人格をださせない

最初に声をかけるとき「大丈夫ですか?」と心配する気持ちと
笑顔で声をかけた。
自分の中にも、さまざまな人格があり、人を心配する優しい人格に
意識を向けて声をかける。
こちらが友好的にでると、いきなり暴力をふるわれたり激情されたり
する危険性が少なくなる。
ここで「いい加減にしろ、店からでろ」と邪魔者でも見るような
対応をすると、相手の中の危険な人格が表面化してしまう。


2,安静な姿勢

立ち上がって、店の人にむかって大声で怒鳴っていたので、
まず「座りましょう」と席につけた。
何かに抗議するとき、人は立ち上がって拳をふりあげて叫ぶ。
身体状態をその逆にすることで、相手の心も落ち着いていく。
とにかく座らせる。

3、刺激しないポジョションと原因を遠ざける

相手を座らせたら、自分も座る。
同じ目線にする。
立ち上がったまま上から目線で説得を始めると、
反感をかう危険性がある。
相手を椅子に座らせて、自分はかがんで下から目線で
説得をはじめると、相手に蹴られたとき一気にバランスを
崩して危険なので、相手と同じ身体条件にする。

そのときは隣の連れ合いに絡んでもいたので、

比較的に酔っ払っていないその人にはその場から離れてもらった。
危険な人格を刺激する人を遠ざけ、体を安静な状態にする。
これで言葉による説得が可能な条件が整った。

逆を言えば、いきり立って大声で叫んでいる状態で言葉による
説得をしても、酔っぱらいには通じない。
そもそも話が通じない状態に輪をかけて、話を聞く環境状態では
ないので、会話は徒労に終わる。

1,危険な人格をださせない
2,安静な姿勢
3、刺激しないポジョションと原因を遠ざける

というステップを踏まないと説得モードにははいらない。
逆に軽い酔っぱらいだったら、一気に4の客観化にまで入れる。

4、客観化(説得)

ここから言葉による説得を始める。
いろいろ話をしたんだけど、相手の態度が変わった会話があった。
それは酔っ払った自分を客観化させる言葉だ。
「酔っ払って大声をだすと他のお客さんに迷惑になります」
「ここは居酒屋ではないので、食事をしにきたお客さんの迷惑になる」
など酔っ払っていかに周囲に迷惑をかけている事を
あくまで友好的に話しかける。
もし、相手が知り合いだったら、相手の友好的な人格を起動させるような
言葉も有効かと思う。
でも、私はAさんの情報を持ちあわせていないので、あくまで周囲にある
事実を語っていった。

まとめ

酔っぱらいの対応なんて、あまりしない事だから
偉そうに書いている私も、ミスを多々おかした。
ミスをするたびに相手の「危険な人格」が支配度が
強くなって、たちが悪くなった。
友好的な人格に言葉を届かせることで、安静化した。
この記事は、安静化に向かわせた私の言動のエッセンスだ。
ミスは除外してある。

結果的には、酔っぱらいはお金を払って店を出たんだけど、
この原則を無意識におこなっていたものだから、
最後の最後で危険な人格を刺激してしまって、
結局、Aさんは警察に強制保護されてしまった。とほほ。

私の対応を採点するならば、55点。
ギリギリ及第点だ。
もし今、同じシチュエーションがあったなら、
今回の体験から導き出したエッセンスを使って
もっと穏やかな結末にできると思う。

最後に、ヨガのことを書くと、
Aさんの大声や胸ぐらを掴んでくる
肉体的なハードコンタクトの中、とても心身は落ち着いていた。
途中、2回ほど顔が引きっつてくる感覚があったけれど、
怒りも震えもなく過ごせた。
私はつねにfitbitiのChargeHRという心拍計を
しているんだけど、あとから確認すると心拍数は70から80で、
普通に活動しているときと同じだった。
一緒に説得にあたっていた人は終わった後もまだ膝が震えると
言っていたけれど、私はまったく大丈夫だった。
日頃のトレーニングの成果だ。
自分がこんなにも動揺しなくなっていることに驚いた。

何が心を安定させているんだろう。
普段、力をいれて実践しているのは
瞑想、呼吸法、立禅、簡単なストレッチみたいなヨガ。
あとはケトルベル(筋トレ)
すべてが相乗効果で、心を安定させているんだと思う。

ヨガは究極的には「心をストップさせること」技術だ。
それを実践をしているのだから、ニローダが実現しなくても
だんだんと動揺が減ってくるのは当然かもしれない。


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Category: エッセンシャルヨガ, 瞑想

- 2016年9月13日

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