人知を超えたブラックスワンが人生を変える
ブラックスワンとは、ナシーム・ニコラス・タレブが定義した
「予測できず、強いインパクトがある」現象。
ナシームさんは、七面鳥でこれを説明している。
七面鳥は毎日ごはんをもらう。
世話をしてくれる人はとてもいい人だ。
それが毎日積み重なる。
昨日も今日も、ごはんをくれる親切な人。
七面鳥は日に日に成長する。
そして、１２月に入ると突然、運命の日がやってくる。
七面鳥の過去の経験は、未来を予測するのになんの役にも
たたない。
世界恐慌、リーマンショック、
３，１１も９，１１もブラックスワンだった。
未来は予測できるような気になる。
これは人間の頭のしくみで、過去のデータやいろいろな可能性を
元にだいだいこんな感じになる、と虚構の未来をつくる。
でも、それには「ブラックスワン」の存在がスッポリ抜けている。
天災や、人災、交通事故や病気で死ぬ可能性。
社会そのものの大幅な変化。
発明がおこす変化。
ブラックスワンが見えないから、それ無しの未来を
予測して信じて生きている。
だから、遠い未来まで計画してしまう。
ちゃんと計画を立てて生きることは大切だけれども、
人間の限界で、その計画の中には「３．１１」や「９．１１」を
スケジューリングすることはできない。
しかし、東北や世界貿易センタービルに勤める人の運命を一番大きく
変えたのはそのブラックスワンだった。
ナシーム・ニコラス・タレブは、予想通りの事がおこる世界のことを
「月並みの国」と名づけた。
人間は身長３メートルにならないし、２００歳まで生きない。
充分に予測できることも世の中にはある。
そしてブラックスワンが飛び交う世界を「果ての国」と呼んだ。
予測不可能で、どれだけ大きいのかも考えつかない。
文明が発達するにつれてブラックスワンの数もどんどん増えている。
江戸時代なら、飛行機がビルに突っ込んできたり、
地震で原発が暴走するリスクとは無縁だったけど、今は違う。
経済も巨大になり、アメリカの景気が日本を左右する。
悪いブラックスワンは予測不可能だ。
そういう世界に私たちは生きている。
ブラックスワンには両面がある。
良いブラックスワンもある。
たとえば、シングルマザーで生活保護を受けていた女性の
書いた本が世界中で４億冊も売れることもある。
良いブラックスワンだ。
ハリーポッターシリーズのJKローリングは、カフェで執筆中に
自分が将来１００億円以上もつ大富豪になることを
予測していただろうか。
ブラックスワンという本に出会って一番良かったのは、
長年の疑問が解決されたことだ。
私は以前から「思考は現実化する」が信じがたいと思っていた。
私自身、自分が考えもしない恵まれた人生を生きている。
思考が現実化するならば、自分におこることは自分の思考の範囲に
おさまるはずだ。
しかし、実際は考えもしないことが起きる。
それが何故か長年わからなかった。
それがナシーム・ニコラス・タレブさんのお陰でわかった。
人との出会いはブラックスワンなのだ。
たった一人、孤島で生きていたら、計画したことしか起きない。
人との出会いが化学変化を起こす。
私の人生を激変させたのは奥さんだ。
私にとって奥さんは良いブラックスワンだ。
逆をいえば、人生を悪く変える出会いも存在するということだ。
ブッダは付き合う人をよく選ぶように、と言った。
人からの影響は本当に大きい。
いろいろな人と出会うから、人生は思いがけない。
自力できることって、なんだろう？
予測できないブラックスワンを予測するなんて、
出来ないので、とりあえずわからない。
わからないなりに、生活でブラックスワンが潜む領域は
なんとなくわかるので、自分なりの対策。
私の場合は
「車の安全運転」
昨日、なにごともなかった道はその道の安全を保証するものではない。
今日は子供が飛び出してくるかもしれないし、危険運転の車に出会うかもしれない。
いままで人を轢き殺していないことは、これからも車で殺人をおこさないことを保証しない。
つねにリスクがあることを心に刻んで運転する。
「家の戸締まりをしっかりする」
昨日、泥棒が入らなかったことが今日の安全を保証しない。
「大きな借金をしない、貯金をする」
経済状態がどう変化するのかわかったもんじゃない。
病気で動けなくなるかもしれないし、
仕事がなくなるかもしれない。
そんなときに「借金」というリスクを持っていると制御不能に
大きくなる可能性がある。
そして、最後に私が不得意なこと。
「新しい人と出会う」
内向的な私の場合は、いままで読まなかった著者の本を読むでも、
いいかもしれない。
自分を変える新しい出会いはとても大切だ。
人生が変わるという意味で、ナシーム・ニコラス・タレブさんの
ブラックスワンは私にとってのブラックスワンかもしれない。
ダイヤモンド社
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