正しい人間の食事ってなによ?

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あるブログで、長年マクロビオティックという
菜食の食事療法にたずさわった人が、自分の体調の悪さをカミングアウトして、
肉を食べる大切さを説いていた。
その人はベジタリアンにすると、栄養失調になり、
肉を食べだすと体調がみるみる回復したと書いていた。

その一方、ベジタリアンにすると体調が良くなって
ウルトラマラソンの記録が伸びたと
「eat&run」でスコットジュレクがいう。
ウルトラマラソンでは一日に100キロ以上走ることもある。
栄養失調になるはずのベジタリアン食にすると、途中で倒れないどころか
体調が良くなって記録まで伸びるという。

 

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ジョンJ.レイティの「gowild」を読むと、穀物をとることをやめて
糖質を制限することが健康への道だと書いてある。
そして、穀物を断って肉や魚を食べることで、トレイルランニングを
爽快に走れるようになったという。

 

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その一方、驚異的な持久力をもつ「走る民族ララムリ」の
食事はトウモロコシベースのほぼ菜食だ。
ララムリたちは穀物を食べながら、驚異的な走力をもっている。

 

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T・コリン・キャンベルの「葬られた「第二のマグガバン報告」」では、
肉食と乳製品が病気の根源で、
「植物ベースの精製されない食物」が、健康的な食事であるという調査結果だった。

 

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いったい誰が正しいんだろう?

でも、これは「正しいことは1つだけ」という前提があるから、
「唯一の正しいやり方があって、だれかが間違っている」と思うのだ。

違う側面からみえば、
人間は思った以上に複雑だということ。

ベジタリアンで栄養失調を感じる人間もいれば、
ウルトラマラソンを完走できる人間もいる。
一日一杯の青汁だけ飲んで生きている人も実際にいる。
昔のエスキモーは生肉だけ食べて生きていた。

体は摩訶不思議だ。
環境に適応するしなやかさがある、
いまだに進化しているという話もある。
体質や体型も一人ひとり違う。
ライフスタイルも違う。
極端なスタイルは、合う合わないがある。

ちなみに、私は雑食がいいと思っている。
その中でも、これいいなぁと思うのは地中海食の考え方。

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毎日食べるもの。
週に数回。
月に数回。

ピラミッドの下のほうは、手軽に手にはいるものが主だ。
足が生えて逃げない植物中心。
日本人は乳糖を分解できない人もいるから、チーズとヨーグルトは
いらないと思う。(私自身、乳製品が嫌いということもあるけど)

週に数回のものは、動物性のもの。
高カロリーのものだ。

ベジタリアンではないけど、肉を食べる比率は少ない。
適度にダイエットにもなるし、完全なベジタリアンのように
厳格な感じもしない。
魚が美味しい金沢に住んでいるのに、刺し身が食べられないなんて
こともない。
ゆるいから続けられる。

とはいえ、一番の問題は「本当のところ原因はわからない」ということ。
シンプルな原因と結果はなかなか無い。
ヤカンを火にかけたらお湯が湧く、という単純な因果関係だったら
すぐにわかるけど、感情を持ち、さまざまな臓器があり、
脳があり、さまざまな人間関係、環境で生きる人間にとって、
何がその結果の本当の原因なのか、特定するのはとてもむずかしい。
人体は複雑系なのだ。

たとえば「体調が悪い」という現象があって、
その原因は「食事」だけではないしれない。
もしかしたら、食事のせいかもしれないし、人間関係のせいかもしれない。
車の排気ガスのせいかも、運動不足のせいかもしれない。
寝不足のせいかもしれない、
季節のせいかもしれない、加齢のせいかもしれない。

だけど、日常生活は実験室ではない。
あらゆるものが同時に動き、複雑にからみあっている。
食事が原因ではないかもしれないけど、
でも、その人の関心が「食事」にそそがれていたら、
自分が食べるものに原因を探してしまう。
「昨日、肉を食べ過ぎたから(食べなかったから)体調が悪い」と
自分を納得させる。

たとえば、今日は気分が悪い。
それをさっき自分に注意した他人のせいにする。
でも、じつは肉体的な疲労が原因かもしれない。
季節の変わり目で寒さと暑さが極端で、体がびっくりしているのかもしれない。
他の悩みがあって、その憂鬱さを忘れるために
他人にあたっているだけかもしれない。

その人が原因で気分が悪いのは真実ではないかもしれないのに、
私達は一番自分でわかりやすいものを原因にしてしまう。
体の調子が絶好調で悩みがないときに、
同じように注意されたら、別になんにも感じていないかもしれない。

人体も人生も、とても複雑だ。
人はそれを簡単にしか理解できない。
理解の限界があるということを理解しておこう。

 


Category: 体を変える, 読書

- 2015年3月14日

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