老いることのメリット

歳はとりたくないものね、というセリフがある。
老いることは嫌なことだと思われている。

たしかに、どんなに鍛えていても歳をとると衰える。
それは生涯現役で一線で戦うアスリートがいないことで
わかる。
死ぬほどトレーニングしても、衰えはやってきて
現役を引退せざるえない。
または活躍する場所を落とさざるえない。

思考力も老年になると衰えていく。
「頭もしっかりしているおばあちゃん」という褒め言葉は、
裏返すと大半の老人はすこしづつボケてくることを意味する。
あたりまえだけど心身ともに衰えるのが老化なのだ。

だからだれしも老いたくない。
だけど、そんな老いにもメリットがあることを
私は一昨年に知った。
愛犬のリクが14歳で亡くなった。

14歳で大型犬のオスのラブラドール犬といえば、
人間にしたら100歳オーバーといえるくらい長寿だった。

朝は元気に散歩していたのに、お昼に外から帰ってくると
動けなくなっているリクを発見して、それから
医者につれていったりなんだりしている二、三時間の間に
かれは死んだ。
胃捻転という病名はついていたけれど、
私は老衰の一種だと思っている。
あっという間にかれは死んだ。

老いると死にやすくなる。
体が死を受け入れやすくなる。
若い体だと散々苦しんでしまうところを
老いていると、すぐに死に移行するから、
老いることは死ぬ準備なのだ。

私はこれは大きなメリットだと思う。
寿命が尽きていない若者と、老人とでは
死にたいする苦しみが違うだろう。
体が老いて鈍くなったり、頭がぼけたりして
くるのは、死の感覚への絶好の防御となる。
鋭敏な感覚を持ったまま死ぬ苦しみがない。

健康的に老いていくことは、
死への良好な歩みだ。
夜に近づいてくるにつれて、
眠くなってくるように、
体と心は黄昏時をむかえる。

私も今年40歳。
顔がおっさんになってきた。
若さに執着する気持ちもある。
だけど、老いを受け入れていこう。
これは大切なステップなんだ。

 


Category: 体のメンテナンス

- 2016年1月22日

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