賞賛にも非難にも動じなくなるにはどうすればいいのか

 

賞賛にも非難にも動じない人のことを賢者という。
ブッダがダンマバタで語った言葉。

あたかも堅い岩山が
風によって揺るがぬように
賢者は非難と称賛に
決して動じることがない

あなたもそうかもしれないけれど、
人の中で生きるということは、色々な意見が
ぶつかり合うということだ。
それぞれ違った人生観を持って、行動様式も違う
のだからそれが接触すると「賞賛」になったり
「非難」になったりする。
これに一喜一憂している自分がいる。
この人間性を克服できないもんだろうか?

さっきのブッダの言葉は人間関係のごたごたがあると、
まるで机上の空論のように聞こえるけど、
たとえば私がブッダに
「それって現実的じゃありません」と言っても、
「なんという真理です尊師!」と言っても、
ブッダはムッとしたり、顔をほころばせて
喜んだりしないだろう。
レベルがまったく違うからだ。
たとえば数学の天才の数式を私が評せないのと
同じだ。
無い知識をふりしぼって、なんとか私が
それを評したとしても、天才数学者にとって
その言葉は深い意味を持たない。

どうしたら、そういう「賞賛と非難に動じない岩山」に
なれるのか?ということだ。

1つは「段違いになる」ことだ。
同じレベルだから、その人の言葉が大きな力を持つのだ。
だから自分のレベルアップを目指す。
人の意見に一喜一憂する悩みのエネルギーを、
自分を鍛えることに向けるのだ。
そうすれば、強く賢くなって、だんだんと人の評価の
引力圏から抜けだしていくようになる。

2つめは「課題の分離」だ。
これはアドラー哲学の言葉だけれど、
たとえば私を崇める人でも非難する人でも、
それは私を見たその人の意見であって、その人の課題なのだ。
ドンミゲルルイスの「4つの約束」だと
「何事も個人的に受け取らない」という約束がこれに当てはまる。
その人の世界観はその人の所有物で、私には関わりがない。
この真理を徹底して意識すると、
人の意見はその人の人生のもので、私の人生のものではない
ことがわかる。

代表的なのはこの2つだ。
あとはきっと自我にかんする教えが関わってくると
思うけど、私自身あんまり理解していないから書けない。

とりあえず理解していることから実践していこう。
1の「段違いになる」は日々の修練で、
自分の能力をなんなりと伸ばしていくことでそうなれる。
間違えてはいけないのは「人からどう段違いに見えるか」を
考えて修練してはいけないということだ。
それは他人に承認してもらうための努力になり、
その道を地平線まで進んでも「賞賛と非難の輪廻」からは
逃れることはできない。
だから、自己満足を高めていこう。
とりあえず自分にとって価値があればなんでもいい。
それが「しっかりとした自分」の基礎になる。
たとえばブッダは家無しで、インドの風習にはない坊主頭で無職の乞食だった。
スッタニパーダにはブッダに「あんたちゃんと働いてご飯を食べなさい」と
現代常識からすると至極まっとうに説教してくる人との対話が書かれている。
世間の目の中には冷たい目ももちろんあった。
もしも「人からどう段違いに見えるか」という努力をしていたら、
そもそも王子のままでいただろう。
私がブログを書いたり、瞑想したりしているのは、運動したりするのは
自分で自分の価値が実感できるからだ。
自分の中でいろいろな世界を持つことが、
現実世界との緩衝帯になり、社会は力を弱める。

たとえば昔は世界といえば生まれた村だけだった。
そうなると村のしきたりは大きな力を発揮したけれど、
世界中の価値観が行き交う現代では、村のしきたりは
力を弱めている。
狭い世界に生きるから、息苦しいのだ。
(自我にかんする教えが応用できるとすれば、
自我とは私と他人との境界線を作るもので、
自我に縛られれば縛られるほど世界は狭くなる)

さっきの「段違いになる」は自我を強めて、
世界を狭くするんじゃないかという疑問があるかも
しれないけど、
段違いにするのは、自分の内面であって自己満足であって、
外面的に段違いに見えるように着飾るのではないということだ。
外面的や役割をする自我は強化されない。
もしも豊かな内面があったならば、自我の役割はどんどん少なくなる。
自分で満足できるということは、他者からの承認がいらないということで、
大きな声で意見を言ったり、人に追随してもらう必要がない。
人と比べた結果の満足ではなく、根源的な満足があれば
自我の出番はどんどんなくなる。

それが2の「課題の分離」に繋がるのではないのだろうか。
自分の価値を高めることで目一杯だと、人の世界観まで
いちいち相手にしていられなくなる。
100人いたら100人に気に入られるように努力するような
時間は無駄に思えるし、実際、みんなに好かれるなんて実現不可能だ。
カメレオンみたに人の顔色をうかがう自分が自分で嫌いになる可能性の
ほうが高い。

悩んでいる暇があったら、内面に目をむけて
変化していこうという結論になる。

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Category: ヨガ的かんがえ, 生活を変える方法

- 2016年2月2日

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