科学とはいえ盲信しない

 

大学教授は科学的な思考の訓練をうけている、と言える。
「非科学的な思考をもつ大学教授」という言葉は矛盾して聞こえる。
だけど、その科学にも限界がある。

大学教授であるケリー・マクゴニガルさんの最初の著書「自分を変える教室」
ではストレスは悪者扱いされている。
ストレスがあると意志力が衰え、病気になりやすくなると書かれてある。
もちろん、そういう科学的な根拠があって書かれたものだけど、
最新作の「ストレスを力にかえる教科書」では、
真反対にストレスが体に良い影響を与えると言っている。
短い間に主張が180度転換している。
しかし、それもそういう科学的な根拠があってそうなっているのだ。

何故、こんなことになるかというと人間という存在は、
シンプルではないのだ。
複雑すぎる存在なので、ある側面から切り取ると悪でも、
違う側面から見ると善だったりする。

たとえば、この間私は「アシュタンガヨガをすると心拍数が低下する」と
書いた。
心拍計をつけてしっかり計測した結果だけど、
これは当てになるようでならない。
私は単純にAをするとBになると書いたけど、
普通こんなにシンプルにならない。
人間の場合「どういう条件があって、こういう結果になったのか?」という
条件が多すぎる。
私の年齢や性別、体の動かし方、筋力、持久力の強さ、食べた物、
気温、睡眠時間、感情、信念ありとあらゆることが
計測結果に影響する。

人とこの世界の複雑さの前には科学はつねに
近視眼的の狭い範囲でしか知ることができない。
そういう限界がある、と知って利用するしかない。

それが限界がない真理だと思って、
科学的!だったら信じる!という態度は
よろしくないと思うこの頃。
世界は複雑で信じられることは多くない。

両方共いい本です。
「自分を変える教室」はヨガの有効性を確認できる本でもあります。

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)
ケリー・マクゴニガル
大和書房
売り上げランキング: 400
スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ケリー・マクゴニガル
大和書房
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Category: 読書

- 2015年11月20日

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