ストレスを力に変える

 

ケリー・マクゴニガルさんの新著を読んでいる。
「ストレスを力にかえる」本だ。
悪者扱いされているストレスの良い効用に
スポットライトを当てた稀有な本で、読んでいて「なるほど」が
連続だ。

ストレスが人を活性化し成長させる。
むしろストレスが無い生活が人を不幸にし、
弱める。

運動が体にストレスをかけて鍛えるものなら、
ストレスは心を鍛えるものだと今は思える。

そして、
思いがけず、人間に生まれ苦闘しながら生きる意味がわかった気がした。
生きることは思い通りにならない。
生きることの根本的な道具である「体」は生老病死という法則から
逃れることができないし、
願い事は叶ったり叶わなかったりと中途半端。
動物のように自然に従って本能で生きられるのなら、
そもそも生きる悩みなんて抱えない。
ただ生きるだけでもけっこう大変だ。

しかし、逆に言えば生きるのが大変だからこそ成長できる。

大富豪の子供のようになんでも思い通りに叶い、
不自由な思いも、困難にも直面せずに生きる人生は
安楽この上ないだろうけど、人としての成長は無い。

人間に生まれたきたのは、ストレス(苦)と向き合い、
それを克服し、成長するためだ。
だから生きるのが大変なのは、良いことなのだ。

偉大な人物は大きなストレスに焼かれて、
偉大になった。
なんにも大変なこともなく、平々凡々と日々を暮らして
人間としてメキメキと成長することは無いだろう。
逆にそういう順境は、よほど気をつけないと堕落のもとだ。

マクゴニガルさんの本は、この前目にした菜根譚の言葉の裏付け
とも言える。

<逆境の中にいるときは、身の周りのすべてのことが鍼(はり)や薬になり、
それで節操を砥ぎ、行動をみがいているのであるが、本人はそれに気づいていない。

これに対して順境にあるときは、目の前のすべてのことが、
実は刃や戈となって、それで肉を溶かし骨を削っているのであるが、
本人はそれを知らずにいる>菜根譚

ストレスが無い娯楽の喜びの虚しさの理由が分かった。
面白い映画をみていてもどこか虚しさがある。
生きている感じがしない、ただの傍観者で心の底から充実感を感じない。

この世で喜びを求めるなら、自らが主体となって
努力して成長する喜びしか無いのかもしれない。

本多静六という偉人の言葉を思い出した。
「人生即努力 努力即幸福」

人生とは努力であり、努力することが
幸福に結びつく。

安楽でありながら、充実感と生きているという実感が
ある幸福を得る道はない。

ストレスと対峙して、それを克服して成長するところに
幸福があると今は思える。

良書には人生を変える力がある。
考え方が変われば人生も変わる。
とてもオススメな一冊。

 

スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ケリー・マクゴニガル
大和書房
売り上げランキング: 31

Category: 生活を変える方法, 読書

- 2015年10月29日

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