「浄化のはじまり」ヴィッパサナー瞑想2010京都7日目

この日から心の浄化がはじまった。

ヴィッパサナー瞑想をすると、
心の奥に抑圧していたサンカーラ(隠れていた感情エネルギー)が
心の表面に浮かび上がってくるのです。

目を反らしていた欲望、怒り、解決したと思い込んだ欲望、怒り。
心の奥にあるものが次々と浮かび上がってくる。

私は主に欲望よりも怒り
過去の出来事が次から次と浮かんでくる。

もうとっくの昔に許していたはずの怒り。
人から文句を言われたときに感じた怒り。
出来事への不満。
いろいろな怒りのサンカーラがどんどこ湧いてくる。

しかし、私は「なんでこんなことを思い出すんだ!」
とか「そんなことで怒ったらいけない」という反応は
せずに、ただひたすら観察する。
科学者が実験の結果を見るように、怒りのパターンを分析する。

ある怒りは眉間の部分に塊のようなヴェーダナー(感受)が生まれ、
ある怒りは頬のあたりにひきつるようなヴェーダナー(感受)がうまれる。
ある怒りは背中に反応があらわれ、ある怒りはお腹。

怒り、、、と一言にいっても、同じ怒りパターンの怒りとは
存在しない。
かすかに違う。
これは3日間で研ぎすませた集中力と、
地道に続けたヴェーダナー(感覚)を感じるという行為の結果
なしでは感じ取れないものなのですが、はっきりとわかります。

この瞑想コースはほんとうに考え尽くされている、
といまさらながら関心。

それにしても不思議なのは、ひたすら観察することで
すべての怒りが消えること。

私に文句を言った人の顔が浮かんできて、ムカっと腹がたった
記憶があったのに、それを思い返しても腹がたたない。
怒ろう!と思っても、まったく笑えない冗談を聞いたときの
ようにお腹の底から笑うことができない。
「そんなこというなんてひどいよ!」という怒った言葉は思いつけるけど、
なんの実感もこもっていない。

頭のなかのセリフが棒読み。

そんな風にして、たくさんのサンカーラ(隠れていた感情エネルギー)
が消えていく。

思い出すといまでもムカムカする記憶。
それが表面化すると、ただの記憶になる。
消えたサンカーラは、元に戻らない。

まるで手術のようだ。
そういえばゴエンカ先生は初日に、
「このコースは心の手術で、そしてそれには麻酔はない」
とおっしゃっていた。

まさにそう。
浮かび上がってくる怒りは、本物で、ありありと感じとる
ときは麻酔無しで手術されているような気分だけど、
きちんと治る。

この日は一日中、穏やかな顔で心の中の激怒を眺めていた。
激怒していたけど、それが必ず消えるものだということが
わかっているのでなんの心配もない。

バガバッドギーターを思い出した。
アルジュナは戦争に行くにあたって、二つの選択を迫られる。
屈強な何千もの軍隊か、
それとも戦車の御者としてただ一人のクリシュナか。
アルジュナはクリシュナを選び、戦場に赴いた。

私の心の中には大軍のように欲望と嫌悪が渦巻いているけど、
クリシュナ(ダンマ(法))から離れないようにすれば、
大丈夫。

とにかく心が痛い日でしたが、刻々と浄化されていくことを
体感する一日でした。

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Category: ヴィパッサナー瞑想リトリート体験記, 瞑想

- 2015年2月16日

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