毎日飛行機に乗って世界中をめぐっても旅をしていない人もいる。
空港から観光地へ、ホテルへ、レストランへ。
サービスからサービスへ流れていくだけ。
体が移動することはたいしたことじゃない。
「私はどこにも行ったことがない」という人がいた。
いや問題なのは、心の旅ですよ。
毎日、同じ風景の中でも心境風景がかわっていくなら、
世界は変わっていく。
心境の変化こそ大旅行。
思い悩んでいたときに見た世界と、
それが晴れたときの世界は違う。
でも、それは場所を移動したりすることによっては
変わることができない。
欲張りな人は、場所を変えても欲張りだし、
怒ってばかりいる人は、どこにいっても怒る。
体を鍛えても、仕事に励んでも、
その傾向は形を変えるだけで同じ。
結局、世界を変えるには自分に向き合うしかない。
自分に向き合うことが瞑想(マインドフルネス)だ。
瞑想は革新的だ。
たとえば「不安な心」が現れたら、普通だと
それに対処して、自分自身を励ましたり叱ったりする。
しかし、瞑想では「不安な心があると感じる」
それに気づくことしかしない。
抑圧でも逃避でもない、中道。
そうすると不思議と心が軽くなる。
「不安な心」に呑みこまれなくなる。
シンプルに気づく。
「怒り」「欲望」「悲しみ」あらゆる感情。
すべて「あるがままに感じ、受け止める」
そういうシンプルな対応を普通はしない。
すぐそこにあるけど、まず気づかない。
すごい特別なことのように思えないけど、特別なこと。