フュージョンライフ

アシュタンガヨガは胸式呼吸じゃありませんよ

 

アシュタンガヨガでは胸式呼吸が推奨されている。
これはすごく珍しい。
胸式呼吸が採用されているのは思いつく限り、
西洋的な身体運動のピラティスと
そして、アシュタンガヨガだけだ。
インド、中国、呼吸を練る流派で胸式呼吸を
採用しているところを私は知らない。

でも、これは誤解の産物だ。
アシュタンガヨガの創設者とされる
パタビジョイス師が、
そもそも腹式呼吸をしているからだ。

革新的なアシュタンガヨガのWSを開催していた富山典之先生は、
アシュタンガヨガが胸式だと伝えられたのは、
パタビジョイス師の英語能力が低すぎて、西洋から習いに来ていた
人びとに間違って伝わり、その間違いが時間を経るにつれ
いつのまにか真実になってしまったんじゃないか、という推測を
述べていた。

アシュタンガヨガが腹式呼吸だなんて聞いたことがないし、
アシュタンガヨガ黎明期の誤解とかなんて、ただの推測でしょ?
という疑問もあるだろうけど、
これに関しては決定的な証拠がある。

 

 

 

パタビジョイス師がアシュタンガヨガをしている写真が
著書「ヨガマーラ」に載っているのだ。

スリアナマスカラBの英雄のポーズ。
お腹をみてみると、ぽっこりとふくらんでいるのがわかる。
私レベルの人間でもお腹を引き込んだ胸式呼吸をするなら、
こんなにお腹はでない。
パタビジョイス師ほどに鍛えた人ならなおさらだ。
これはお腹を引き込まずにリラックスした状態で息を吸っている。
つまり腹式呼吸か完全呼吸かのどちらかで、
けっして胸式呼吸ではない。

ちなみにパタビジョイス師の師匠であるクリシュナマチャリア師の
写真もある。

ウッテッタハスタパタグンシュターサナの写真。
全身きれきれの筋肉のクリシュナマチャリア師だけど、
お腹はみての通り、ぽっこり出ている。
これは絶対に胸式呼吸の写真ではない。
クリシュナマチャア師ほどの呼吸の達人が、
ガチで胸式呼吸をしようとするならば、こんなにお腹はでない。
つまり胸式呼吸じゃないのだ。

アシュタンガヨガでは、パランパラという師から師への
伝統の継承が重視されている。
(どこまでが伝統かは非常に怪しい話だけど、、、、)

だから、伝統の継承を重視するのなら、
<ヨガマーラを出版したあとに呼吸を胸式呼吸に変えました>
というのは筋が通らない。
ぜんぜんパランパラではない。
呼吸のやり方が胸式呼吸という非常にレアなやり方に変わるという
のはちょっとやそっとの変更ではないからだ。

だとするならば、答えは1つ。
ただの誤解がいつのまにか真実になってしまったのだ。
だからアシュタンガヨガは胸式呼吸じゃないですよ。

やるのなら腹式呼吸か完全呼吸をおすすめします。
さすがに誤解されたアシュタンガヨガでもプラーナーヤーマまでは
胸式呼吸でしないだろうから。

参考書籍

シュリ・K.パタビ ジョイス ケンハラクマ
産調出版
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