もはや読む哲学書などいらないと思っていた。
おれがとても偉いから、という訳ではなく、
いままで読んだことの百分の一も実践できていないからで、
これ以上、知識ばかり増えても頭がでっかちに拍車がかかるだけだ。
とわいえ趣味は書店めぐり。
どうしても気になる本に遭遇してしまう。
ヨーガヴァーシシュタ、4070円也。
二段組のそこそこ厚い本である。
ヨーガの経典?
なんでもラマナマハリシが最重要視した聖典であるという。
アドヴァイダヴェーダーンタなのだ。
パラパラまくって立ち読み。
なにかが訴えてくる、おまえにはこれが必要だ感。
まじでささやくゴーストが。
財布には会社から貰えたあぶく銭が入っていて、
普段は一度帰ってから再検討する私が珍しく、
買って帰った。
家で、じっくり読んでみた。
ヨーガヴァーシシュタには番号が振られていて、
一日にその番号通りに読むと、356日で読めるように
なっている。
エドガーケイシーさんだったかが、一年を通して聖書を
熟読していたように、毎日読んでいく、なんて読み方も
面白いと思った。
普段は風呂に本を持ち込んだり、電車の中で読んだりする
私も、この本だけは家で落ち着いた環境で読むべきだと感じた。
冒頭の数章を読んだだけだけど、この本はスペシャルだ。
聖者との対話形式、物語などが散りばめられた総力戦のような、
荘子のようなスタイル。
いままで読んだ本よりも、一段と深く高い。
なおかつなんとか理解できる!
まだ全部読んでいない。
けれど、圧巻というか
これはやられた!というのが、冒頭にある
「離欲の教え」からの「探求者の心構え」
「離欲の教え」が、ラーマ王子の、一言でいうならば
「泣き言」
世の中が辛いです、無常です、もうやる気がしません。
ボクちんを救ってくれる教えはあるのでしょうか?
みたいな内容が高尚な言葉で書いてある。
それに対をなす「探求者の心構え」は、
その泣き言をバッサリと、見事に切ってすてる。
「離欲の教え」はまさにこの世を生きようという力を
奪う言葉が、これでもかと書かれている。
ラーマの泣き言に私は反論の余地がなく、「そうだ、この世のクソだ」と
しか言えなかった。
「生きる」という大きな岩にラーマと一緒に潰されて、息も絶え絶えのところに、聖者ヴァシシュタがやってきて、大岩をはるかかなたにブン投げて救助、
「おれの強さの秘訣はこれだ」とアドバイスくれるみたいな。
とにかく、
こんなに力強い言葉は近年、聞いたことがない。
まだ数章しか読んでいないけれど、まさにこの冒頭の2つの章だけで、
値千金。
人生を変える力がある。
そもそも、この聖典は、大上段にマジか?という宣言をしている。
「この聖典を学び、その意味について黙想する人に、苦行や瞑想やマントラの必要はない。なぜならばこの聖典を学べば解脱は確実だからだ」
読んだら悟れる。
しかも、この聖典はスートラのように短い言葉で構成されているのではなく、
懇切丁寧に説明してくれている。
数章読むだけで、私の中に新しい力が注がれた。
まだ冒頭部分だけど、この密度が終わりまで続くのならば、
私は、生涯をかけて読むべき私の聖典を手にいれたのかもしれない。
ちなみに、
この本は、私が軽蔑するスピリチュアルコーナーに置いてあった。
うっすいうっすい内容の本ばかりの中で、
この本はまさに原液100%。
本の内容が、物理的重さになるならば、スピリチュアル系の本は風に流される藁屑で、この本は巨大な山に変わるだろう。
もしもこの系統の知識に興味があったり、瞑想したりしていたり
しているならば、仏教徒でも、スピリチュアル系の人であろうと、
キリスト教徒であろうと、自分のスタンス(宗派)は一旦おいて、
ぜひ読むべきだ。
内容に比較すれば、この本はタダ同然の捨て値で売られている。
世が世ならば、人生をかけなければ、読むことも聞くこともできなかった
教えがたった4000円ぽっちで売られているのだから。
この本で得られるリターンの上限は「解脱」
自分に合わなくて損する金額はたった「4000円」に限定されている。
こんなお得な取引はまじでないのだ。