フュージョンライフ

自分でストレスをかけて強くなる

 

たとえば、比叡山の千日回峰行を達成した阿闍梨の方が、
もしも還俗して働くことになったとする。
「社会の厳しさ」などを感じるのだろうか?
7日間、寝ない、横にならない、食べない、水も飲まないという
地獄のような行を自分の意志で達成したり、一日に何十キロと野山を
駆けまわった人にとって社会はどう心にうつるだろうか。
このような筋金入りの人は相当なストレスをかけられても、
耐えうる強さを持っている。

社会の厳しさよりも、自分自身をさらに厳しく鍛える人は、
社会の厳しさなんて何のことだかわからないだろう。
自分で自分のストレスをかけて予め鍛えて強くなること
が防御でもあり攻撃にもなる。

たとえば腕立て伏せを100回出来る人が、
他者から罰として腕立て20回!と言われても、
たいしたストレスにはならないだろう。
自分でそれ以上のストレスをかけているからだ。

自分でかけるストレスは調整もできるし、
耐えられる。

仕事でいえば、そのクオリティのレベルを心の中であげてみる。
自分で自分の鬼上司になるのだ。
そうすると、他人からとやかく言われることが無くなる。

規則正しく運動することで、ストレスをかけることで体は強くなる。
心も試練をくぐり抜けるたびに強くなる。

生きていくのって難しい課題だ。
優しくして欲しいと願うよりも、自分が強くなると
その難しさがどんどんと軽くなっていく。

自己鍛錬をすればするほど、頭と体、心を鍛えれば鍛えるほど
生きやすくなる。
まさに菜根譚の言葉だ。

<逆境の中にいるときは、身の周りのすべてのことが鍼(はり)や薬になり、
それで節操を砥ぎ、行動をみがいているのであるが、本人はそれに気づいていない。
これに対して順境にあるときは、目の前のすべてのことが、

実は刃や戈となって、それで肉を溶かし骨を削っているのであるが、
本人はそれを知らずにいる>

思うに、コントロール不可能な外部からの逆境で慌てないために、
自らで逆境をつくりだして、鍛えていくほうがいい。

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