「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」はACTという
マインドフルネスがベースになった心理療法の本で、
読んでいると、かなり示唆されることが多い。
たとえば、
<どう感じるかはコントロールできないけれど、
どう行動するかはコントロールできる>
という仕組みがかかれていた。
熟練の講師でも大勢の前で発表するときには緊張する。
でも、だれもそれに気づかない。
それはあえてゆっくりと喋ったり、
姿勢を正したりすることで行動をコントロールしているからだ。
がっかりした気持ちになることはコントロールできない
けれど、落ち込んで猫背になったりする姿勢などの
コントロールはできる。
怒りの感情が沸き起こることもあるだろうけれど、
荒々しい呼吸ではなく、深呼吸することもできる、
ということ。
行動をコントロールするヨガのしくみだ。
でも、これは「怒りを消そう」とか
「不安を消そう」とか目標にしてアーサナや呼吸法を
するということではない。
そうなると、感情のコントロールの領域に入ってしまって、
迷子になってしまう。
ただシンプルに行動だけ変える。
姿勢を正す、呼吸を整える。
これには大きな力がある。
そうすると、結果的に心も整ってくる。
道元禅師の言葉にこういうものがある。
「三昧王三昧とは結跏趺坐である。(ヨガでいうところのパドマーサナ)
結跏趺坐すると、一気に仏のレベルにあがり、その功徳は尽きることはない。
魔王も手出しができないし、結跏趺坐している修行者の絵をみるだけでも
恐れおののくほどである」
という大威力を備えているというお言葉。
なんかお話を盛って書いているような気もするけれど、
姿勢はそれほどまでに大切ということはヒシヒシと伝わる。
体を使ったヨガをすると生活の質があがった、と感じる人が多いそうだけど、
それは「行動を穏やかにコントロールする」効用だ。
悩んでいたら、その対策を考える前にヨガで体の状態を
変えたほうがいい。
重々しい気分で考え事をしてもいいことないからね。
筑摩書房
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