フュージョンライフ

植物ギルドの不思議

 

 

 

<野菜は単独で育てたほうが水や養分を独占できてよく育つ>
と書くと、とても正しいようにみえる。
限られた資源を分け合うよりも、独占したほうが1つの野菜は
大きくなりそうだ。
しかし、そういう常識は疑う必要がある。

たとえばこのポイセンベリー

去年植えたもので、暖かくなって新しい枝が地面から生えてきている。


わかりにくいけど、柔らかい枝が地面から生えている。

このポイセンベリーは単独で生えていて、水も地面の養分も独占状態だ。

一方、これ。

腰丈ほどあるクリムゾンクローバー。
これがクローバーか、、?と思うほど巨大で
思うがままに繁栄している状態。

じつはこのクリムゾンクローバーの真横に、さっき見たのと
同じポイセンベリーが同時期に植えられている。
普通に考えると、ここまでクリムゾンクローバーが繁栄していると、
ポイセンベリーは枯死していると思う。
ここで「クリムゾンクローバーが伸びすぎて、ポセンベリー枯れた」と
書いても「そんなバカなことがあるか」とツッこむ人は少ないだろう。
普通に考えると枯れるんじゃないかと思う。


しかし、ポイセンベリーは生きている。
クリムゾンクローバーに養分を吸われて死んでいたりしない。

それどころか一番立派な新しい枝が地面から生えてきた。
単独のポイセンベリーのものよりも倍はある。

生きている、どころではなく庭のなかで一番繁栄しているポイセンベリーに
なっているのだ。
不思議。

これはまさに「共存共栄」ではないか。
クリムゾンクローバーはマメ科の植物で、
よくわからない仕組みで、土中にチッ素を供給する。
それがポイセンベリーによい影響を与えているのかもしれない。
しかし、一方、クリムゾンクローバーのメリットってなんだろう。
ここまでデカイ株になったということは、なにかしらの
メリットがあるんだろうけど、理解不能だ。
でも、素人の私にでも、
この組み合わせが「コンパニオンプランツ」であることはわかる。
コンパニオンプランツのギルド。
一緒に育てると成長を促進する植物だ。

逆にお互いの成長を阻害する組み合わせもある。
(キャベツとジャガイモとか)

幸福な結婚とか、最良のチームとか、
一人のときよりも、個々の力が増す組み合わせが
人にもあるんだろう、と植物を見て思う。

ブッダは「付き合う人を選びなさい、良くも悪くもあなたは
その人に似ていくだろう」という意味の言葉を残した。
植物でさえ、これほどの相乗効果があるんだから
最良の仲間に出会えるということは僥倖だろう。

そして、もしも自分と同等かもしくは優れた人が
いないのなら、独りでいけという。

「もしも思慮深く聡明でまじめな生活をしている人を伴侶として共に歩むことができないならば、国を捨てた国王のように、また林の中の象のように、ひとり歩め。
愚かな者を道伴れとするな。独りで行くほうがよい。孤独(ヒトリ)で歩め。悪いことをするな。求めるところは少なくあれ。──林の中にいる象のように」

 

木嶋 利男
家の光協会
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