週刊リクニュース

11月29日
高所作業


日は仕事を無事に終われてよかった、、、、、

というのは、大工の仕事のなかで一番危険なのは、

土台のうえに柱や梁を組んで、屋根を張る「棟上げ」

という行程で、今日はその棟上げの日だったのです。

柱をたてて、梁をそのうえに渡したり、特に命綱もなしに

高所での作業です。

足を踏み外したら3メートル、ヘタすると10メートルくらいの

高さから地面に落下するという怖ええ作業なのです。

「落ちたらどうなるんだろ?両足をついて着地したら骨折するかなー、打ち所が悪かったら半身不随、もしかしたら死ぬかもしれん、、、、」

とどんどんと悪い想像が湧いてくるは、風は吹くはで、

楽しくなくなってきたので、心を落ち着けることにしました。

いま思えば、以前、
オロチという悪魔のような

ジェットコースターに乗せられたとき、

「おれは鷹だ」と自己流暗示をかけても効かなかったのですが、今回は

アシュタンガヨガのやり方をそのまま使いました。

恐怖心を感じると呼吸が乱れ、視線が泳ぎ、上体にむやみに力が入るので、

ヨガの練習でいつもしているように、規則正しい呼吸、視点の固定、

バンダとよばれる身体操作法で、なんとか竦む足を動かしました。

それでも、視線は足場になる梁に釘付けで、

もうジジイかよ、というくらいスロウモウな動きなのです。

ベテランの大工さん6人と一緒に棟上げしたのですが、それにしても

ベテラン勢は凄い。なんであんな細い足場のうえでカケヤ(大きな木槌)を

振れるだろうと不思議で不思議でしょうがなかったです。

そういえば宮本武蔵が弟子に「おまえは幅30センチの橋を渡れるか?」

と聞き、「わたれますよー、30センチあれば充分です!」といった

弟子に「では、その30センチの橋が、
足を踏み外せば死ぬ高さにあっても

渡れるかな?」みたいな話を読んだことあるなー、あれってこういう状況の

ことだよな。これが地面のうえに置いてある梁だったら、

すいすい歩けるのに、いまのオレはなんだこりゃ?と実感しまくりでした。

しかし、しばらく作業するにつれてだんだんと馴れてくるのです。

すこしづつ恐怖心が麻痺してくると、周りがよく見えるようになりました。

作業が始まって数時間、私が「うーん、南無八幡大菩薩!」と

必死になって祈るように歩いてきた足場に、

クレーンを操作していた方が昇ってきたのですが、

ええと、履き物は
サンダルで、ペタペタと高所にある細い足場のうえを

歩いていました、、、、、緊張感ゼロだな!

それを見て、なんだか怖がるのがアホらしくなってきました。

ベテラン勢が口を揃えていうのは、「高さには馴れるしかない」らしいです。

やっぱり経験がものをいうんですよね。

でも、馴れすぎるってのも危ないんじゃないか?と思いました。

何事もほどほどが一番ですね。





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