長編小説「IT」読めるかな?

テレビが出た時に「一億総白痴化」が始まったと嘆いた人がいた。私が生まれる前の昭和30年台の知識人の嘆きだ。

私が生まれた頃にはもうすでにテレビは当たり前の存在で、毎日、いかなる時でもテレビがついて我が家を白痴化していたから、白痴以前の人々がどれほど賢かったのか知らない。
生まれながらに白痴だからもうすでに白痴が当たり前なのだ。

でも、テレビ以前の小説を読むと、文章力の高さは確実に感じる。浅薄ではないけれど、薄味でゆったりとしていて、滋味に満ちている。
いうなれば本物の食事だ。
しかし、テレビのジャンクフードのような刺激的でどぎつい情報に慣らされてきた私は、それらを読めなくなっている。退屈に感じるからだ。

それでもネット以前の私はかなりの読書家で(今でもそうだけど)小説を娯楽として楽しんでいた。読むのはSFやミステリだけど、それでも一冊の小説をきちんと楽しんで読む力があった。
(愛読書は平井和正のウルフガイシリーズ、特にヤングウルフガイ)

でも、ネット時代になり、ネットサーフィンを繰り返し、ネットにアップされている断片的で短い文章から文章へ渡り歩くようになると、その能力は急激に低下していった。使わない能力は消えてしまう。

一冊のかる~いタッチで書かれた小説ならば、今でも読める。
だけど、深い内容の長い小説は無理だ。

トルストイの「罪と罰」やユーゴーの「レ・ミゼラブル」、トールキンの「指輪物語」を小説で読みたいと考えていたことがあったけれど、
最初の数ページで断念した経験がある。
刺激が少なすぎて、読んでいけない。長すぎて根気が続かない。
白痴はネットに出会って、さらに進行している。

そのうち、古典作品は読み手がいなくなるだろう。
実際、私は読めない。
そのための集中力と根気と、ゆったりとした時間感覚が無い。
ネットサーフィンを繰り返した短気さと集中力の無さと、
すぐに結果を求める「タイムイズマネー」生活が、
古典や重い長編を読む能力を滅ぼしてしまった。

読書はデジタル時代になって、力を失いつつある。
逆に言えば、アナログな力をつけたければ、
集中力と根気とゆったりとした時間感覚を取り戻したければ、
長編、古典を読むことを修行と思って取り組めばいい。

これは人生の質を高めるための修行だ。
過去の名作を読む力と、豊穣な内面世界を取り戻す。
テレビやネットサーフィンのような口を開けてボーッと見る、なんの思考力も必要としない白痴メディアに毒される前、白痴になる前の人間の思考力を持つ人間になりたい。

でも、いきなり「罪と罰」は無理だ。
トールキンの「指輪物語」も読みたいけれど無理だ。
自分にできそうなところから初めていこう。

この間、Netflexで見たスティーブン・キングのホラー小説の
映画化である「IT」の続きが気になる。
9月に続編が公開になるそうだけど、この「先が気になる」を
利用して、小説のITを読んでみよう。
それから次の作品に挑戦だ。

その前にNetflex解約しないと、、、、


文庫本で4冊。今の私にとって中々の挑戦だ。

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Category: 読書

- 2019年5月5日

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