学者先生の思いつきよりも、時間の試練に耐えた「長寿村」に学ぶ

最近話題の糖質制限ダイエット。
これは、クリストファーマクドゥガルの「ナチュラルボーンヒーローズ」や
ジョンレイティの「GO WILD」にも記載されている。
これが原始人の食事に近い、という話をする人もいるし、
いや、これは危険だ、という人もいて、いまだに賛否両論がある。

専門家の思いつきや推測で始めたことは、
危険をはらむ。
新しいメソッドは現実ではなく、理論が先にあって
推奨者が人体実験している段階にあるから答えは出にくい。

もしも、糖質制限をしている人だけが住む村があったら、
その村の健康状態や寿命を見ればいいのだけど、
実際、このブームはそれぞれがバラバラのやり方で住む環境も仕事も
バラバラでおこなっているので、
それが長期的にみて良いのか、悪いのか、という実際のところは
ハッキリしない。
これは現代の理論先行型のメソッドの急所だ。

やはり正確なところを知るには数がいる。
たとえば、肉も酒も煙草も女もと放蕩三昧で生きた老人が
100歳まで生きたから、といって、
イコール「肉と酒と煙草と女遊びが長寿をもたらす」とは
言えない。
たった一人の結果は、たまたまそうだったという要素が大きいし、
節制していたら105歳まで生きていたかもしれない、という
「もしかしたら」の選択肢が消えるわけではないから、
その一人で節制の効果は否定できない。

暴力団員の組長が、90歳の天寿を全うしたからといって、
それがイコール「暴力団をすると寿命が伸びる」ということにならない。
でも、暴力団の構成員の平均寿命でみてみると(そういう統計があるのかは知らないけれど)
抗争で命を落としたりする人がいるから、一般人よりも短くなるだろう。
たった一人の組長の長寿よりも、◯◯組という1つのグループに属している人たち
の平均のほうが信憑性が高い。

つまり、沢山の人が同じライフスタイルをして、
それで健康的で長生きするやり方があれば、
それは実際的に正しい。
大勢の人が生きて証明した現実だからだ。

時代の試練を経ていない科学者の思いつきよりも、
実際の生きた証のほうが重い。

生まれてから死ぬまでほとんど同じ食生活で、同じ土地に住む、なんて
ことは現代日本では不可能だ。
しかし、
1937年から1972年までの35年間の間、
北海道から沖縄まで、全国の村を990箇所も訪ね歩いて、
その不可能になった調査をした人がいる。
東北大の名誉教授の近藤正二博士だ。
短命村と長寿村の秘密を明かすことをライフワークにした人だ。

1937年。
ネットはおろか、宅急便もなく、自動車もあまり普及して
いなかった時代。
現代に比べると人の行き来もすくなく、
スーパーマーケットで、日本中の食材が気軽に手に入る時代
ではなかった。
極端な地域差があって、
都会はともかく、地方の同じ村の人間はだいたい同じ食事、
同じ生活をしていた時代。
短命村と長寿村を調べて、実際に日本人を健康で長寿にしていた
要因を調べた研究。
それが有効だった最後の時代に、
行われば、同じ日本での調査。
これは値千金の情報だ。

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Category: ベジタリアン

- 2017年7月20日

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