サイコパスと聖者の共通点

 

「アクトオブキリング」を見たことから始まった
「人間の悪」の研究は、「サイコパス秘められた能力」を
読んで終わりにする。
<良心のないサイコパスという存在が、
さまざまな虐殺や犯罪の実行犯として
存在する>ということだけ知っておけばいい。
所詮、悪いことは悪いことだ。
研究しても、善いことはわからない。
人を絶望させる方法を学んでも、人を励ます方法は
わからないのと同じだ。

「サイコパス秘められた能力」は、
他のサイコパス本と毛色が違って、
犯罪者ばかりでなく社会で成功したサイコパスにも焦点が当てられている。
そんな流れで、罪悪感がないサイコパスと
聖者の共通点が書かれてあった。
抜粋する。

「でもそれって恐怖を感じるか感じないかだけの問題じゃないよね。
恐怖、というか、ぼくの考える恐怖だけど、正直なところ、本当の意味で
恐怖を感じたことがないから。
その恐怖にまつわる話は十中八九まったく根拠がない。
よく言うじゃないか。心配することの九十九%は決して実際に起きない。
じゃあ、ポイントはなんだろう。
問題なのは、起こるかもしれないこと、失敗するかもしれないことばかり心配して、
今、この瞬間がまったく見えなくなることじゃないかな。
今のところは万事うまくいっているってことを見落としてしまう。
きみは尋問体験で痛感したはずだ。その特殊部隊の男はなんて言った?
暴力で落とすんじゃない。暴力の脅威で落とす。
だったら「今」に集中すればいいんじゃないか。
考えてもごらんよ。
落ちてきそうなコンクリートの塊の下に横たわっているあいだ、
実際は悪いことなんか起きていなかったんだろう?
そりゃ、天蓋用の柱のついた豪華なベットほど寝心地はよくなかったかもしれないけど。
きみを震え上がらせたのはきみ自身の想像だった。
脳が早送りモードになって、起こりうる災難を次から次へと思い浮かべた。
でも実際は何も起きなかった。
ってことはつまり、できるかぎり脳が先走りしないようにすればいいんだ。
続けていうるうちにきみも勇気勇気と言わなくてもすみようになるはずだ」

「さもなきゃ、想像力を味方にしたっていいんだぜ。
今度恐ろしい目に遭ったらこう思え。
「怖いと感じていなかったら、自分はどういう行動をとるだろう」
そして、そのとおりに行動しろ」

今に心を置く。
想像力の暴走にストップをかける。
これはまったくそのとおりだと思った。
共感性や想像力を持ちながら、それに操られて
右往左往しない。
瞑想はそういう訓練でもある。
私はいまもときどき想像力が暴走して、
あれこれ悩むこともあるけれど、昔に比べたら
本当に少なくなった。
豊かな感情と共感性をもちながら、今に生きる
聖者と、真っ暗な心と無関心な体をもって、
今に生きるサイコパス。
共通点はあるけれど、
スターウォーズのジェダイとシスほど違う。

 

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サイコパス 秘められた能力
ケヴィン・ダットン
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Category: 瞑想, 読書

- 2015年8月1日

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