ゴースト・イン・ザ・シェル

スカーレット・ヨハンソン主演のゴースト・イン・ザ・シェルを
見に行った。

これは攻殻機動隊という押井守監督のアニメ化作品の実写版で、
原作の攻殻機動隊は、映画館で2回みた。
まだ20代で東京に住んでいた時の記憶が蘇る。
映画の世界観が気に入って、サントラも手に入れたし、
DVDですくなくとも5回はみている。
続編のイノセンスは映画館で1回みたし、DVDも何回もみた。
つまり、押井守監督の攻殻機動隊シリーズは暗記するほど
憶えているマニアの私が、ハリウッド版攻殻機動隊の
ゴースト・イン・ザ・シェルをみた感想ということになる。

映画を見に行く前、評判はどんなもんかと
評論サイトを見てみると、結構酷評されていたから、
恐る恐る、どうしても気になるから
無駄な時間になるのを覚悟して見に行ったのだけれど、
まったく後悔のない時間になった。
大満足だ。

ハリウッドで制作する、ということは膨大なお金をかけて
世界中に発信するから、わかりやすく安直な作品にしないと
いけない、という制約がある。
押井守監督の攻殻機動隊シリーズが、一部難解で
哲学的なパートが含まれていて、それコミの攻殻機動隊の魅力と
なっている。これはハリウッドでは絶対にできないことで、
その攻殻機動隊のよさを失わずになおかつハリウッド映画にする、という
至難の業を、ルパート・サンダース監督はやってのけた。

この映画では草薙素子こと少佐役に、白人であるスカーレット・ヨハンソンが
ついていることがホワイトウォッシュだと非難されていたけれど、
的外れもいいところだ。
映画を見ていない人の発言だと呆れた。
ネットはだれでも書き込めるから、なんにも考えていない発言も文字として
流通するから、こういうお話にならない非難も堂々と流通する。
あと町並みが日本じゃなくて中国みたいという人もいるけれど、
イノセンス見ていないのか?!とつっこみたい。
話にならないのだ。

攻殻機動隊のファンなら「おおっ!」という攻殻機動隊を印象づける
さまざまな景色が、実写で見られるのは感動ものだ。
でも、脚本が違っているので、
完全に攻殻機動隊の話の筋を知っている私がみても先が見えない。

ハリウッド版ゴースト・イン・ザ・シェルは、
攻殻機動隊とイノセンスという押井監督が構築した
深くて膨大な世界のパズルのピースを使って、
まったく新しい映画を生み出した。
だから、ほとんどのシーンはマニアにとって
懐かしいあのシーンだけど、脚本が違うので
まったく退屈感がない。
全編、監督の作品への愛情が満ちている。
なおかつ、新しい展開だけど、攻殻機動隊の枠のなかに
しっかり留まっている。

個人的に、ラストのオチは
「こうきたか!」と妙に腑に落ちた。

攻殻機動隊の少佐は、個人的に、イノセンスでバトーが心配する
ように、とても幸せな状態に思えないけれど、
ゴースト・イン・ザ・シェルの少佐は「よかったね」と思える。
ちゃんと着地して、地面を歩いている感じだ。

賛否両論ある北野武の荒巻課長だけど、
逆に公安九課の課長であるならば、
ああいうキャラもありかと思う。

唯一、気になったのは、
少佐が確保されるシーン。
あれだけが違和感があった。
あんなノープランで少佐が確保されるだろうか、
と思った。
「あれ?」と思ったのは唯一このシーンだけ。

最後に、私はこの映画を吹き替え版でみた。
普通は字幕でみるのだけど、
攻殻機動隊と同じ声優さんたちが声を当てるというので、
マニアはぜひとも吹き替え版で見て欲しい。

田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、さんたちの
声を聞くだけで、マニアな私は大安心なのだ。
私がお気に入りのバトーが、少佐を喋る夜の船のシーンは
もうこのシーンだけで1時間はいけると思ってしまうくらい
よかった。

ゴースト・イン・ザ・シェル。
攻殻機動隊ファンなら見に行っても間違いない。
まったく原作を見ていない人の反応はどうなんだろう、と
思うけれど、きっと大丈夫だと思う。
万人受けするハリウッド映画の側面もちゃんとある。
でももしかしたら原作をみてから見に行ったほうが
一粒で二度美味しいかもかも。

最初の5分。
ちなみにスカーレット・ヨハンソンの着ているのは
光学迷彩という透明に見える迷彩服。


Category: 映画

- 2017年4月11日

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