自由を目指す奴隷

頭の硬いおじさんに「君は柔軟性にかけるかももっと柔軟になったほうがいい」とアドバイスされた。

私が思うにそのおじさんの石頭は相当なものなので、何を言われているのかわからなかったので
「一体、それはどういう意味ですか?」と聞いた。

私はいろんな意見を取り入れて、試行錯誤して生きている。
嫁に何かを注意されたら、すぐに行動を改めるし、思い当たる節が無い。

「君は私の意見をぜんぜん聞かない」

なるほど。
それなら思い当たる。
そういえば、同じことを昔、他の人に言われた。

その人は「子供には砂糖を食べさせないといけない」
「毎日、牛乳と卵、肉を食べさせないといけない」
と戦後のGHQが指導したような食事習慣と、謎の「砂糖は頭に必要不可欠」論を私の子供に指導してくるので、意見を一切聞かなかった。
我が子に成人病になる食習慣を身につけさせる訳にはいかない。
私は鋼鉄のように柔軟性はない。

前段の「君は柔軟性がない」といってきたおじさんも似たりよったりのクオリティで、無益なアドバイスだらけなので、私は一切、意見を聞かない。
というか聞けない。

中間管理職ではないけれど、ちょうど中間のポジションにいる私。
柔軟性を発揮して、そのおじさんの操り人形のイエスマンになって、
「イエス!イエス!」言っていれば、もっと楽に生活できるだろうけれど、
そんな私は嫌だ。

そのおじさんは、強力なトップダウンの独裁体制を築きたいと思っている。
イエスマンばかり集めて、現場の人たちを考慮せずに混乱させている。
そんなおじさんの言いなり。
もし、それで出世できたとしたら、
その昇給分で自分の魂を売り払うことではないか。
それは嫌だ。

毎月、決まった額のお金がもらえるけれど、
サラリーマンって怖い。
他人に運命を握られている奴隷だ。
(その上司も奴隷だけど)

だとしたら、どうすればいいのか?

まず、意識しないといけないことは
「現在の身分は奴隷」だということだ。

幸せはお金では買えない。
けれど、時間はお金で買える。
私の推定余命をまかなえるだけのお金があれば、
自分を他者に売らずに自分で自分を買い取って、
自分の主人になれる。
これは他人に運命を委ねるよりもずっと安全な生き方だ。

この考え方からいくと、他者に自分を売っている状態は
奴隷ということになる。

賃金はもらっているが、生活と娯楽でまたたく間に消えて
一生、働き続ける運命だ。
新しいスマホ、新車、新築、ファッション、旅行、
ドラッグ(酒、タバコ)外食、賭博。
奴隷は、仕事を享楽で人生を終える。

そんな身分にあがらうには?
自分自身の主人になるには?

それはストイックに生きるしかない。
企業のCMに従うような消費者的な行動をとるのをやめて、
借金をせず倹約して、そのお金を貯蓄し、賢明な投資をして
お金を増やし、資産で自分自身を養えるほどになるしかない。
これはファイナンシャルフリーと呼ばれる状態だ。

これと同時並列で、心の平静を強化する。
さきほど、お金にストイックになると書いたが、
このストイックの語源である、ストア派の有名な
哲学者であるエピクテトスは、元奴隷だ。

彼は奴隷の生活をする中で、
奴隷生活でも左右されない心を確立した。

ちなみに有名なストア派の実践者は、
マルクス・アウレリウス(皇帝)
セネカ(政治家、すごい富豪)
エピクテトス(元奴隷 貧乏)と経歴が幅広い。

どんな階級の皇帝でも奴隷でも、金持ちでも貧乏でも、
生きるのに役に立つ教えなのだ。

自分の首に会社の首輪がかけられているのに、
気づいてしまったような日は、ストイック(ストア派実践者)
の言葉がとても響く。


セネカの「生の短さについて」

セネカは文章が超絶うまく、いろいろなたとえを使って語ってくれるから、
比較的、読みやすい。





マルクス帝の「自省録」は、死後ポケットの中から出てきたメモ書き。
自分への戒めや考えなど、皇帝生活って大変だったんだね、と思わせるような
言葉が多い。
血なまぐさい戦争、宮廷の権力闘争、そのハードな環境の中で
善き人であろうとしたマルクス帝の努力の言葉集。





エピクテトスの語録、要録。

要録は、ストア派のルールブック。
ヒルティの幸福論1にも収録されているから、
そちらを読んでもいいかもしれない。
この中央クラシックス版は、
言葉が奴隷言葉というか、ちょっと読みにくい
翻訳になっているけれど、エピクテトスの言葉を
もっと知りたい人にはおすすめ。



 


Category: 未分類, 読書

- 2020年5月4日

Comments

  1. せつないですね。
    わたしも同じような境遇で、先輩に愚痴をこぼした時、次のように言われました。
    「無意味と分かっていても、ひとり正しいことをしてはいけないよ。沈む時は皆で沈まないと」

    組織は個人の意思や頑張りと離れたところで回るのかな、、と思いました。

    あれから数年が経ち、個人は個人の利益や嗜好を優先する文化が広まり、このcovid-19騒動で変化を迎えています。在宅ワークになり、業種や仕事にもよりますが、成果を捉え、個人の嗜好やプロセスは自由になるように思います。

    時代がよい方向へ変わって欲しいですね。

    • 「無意味と分かっていても、ひとり正しいことをしてはいけないよ。沈む時は皆で沈まないと」
      こういうの私もどうかと思います。
      このcovid-19騒動でも、古い価値観の職場で働いていると、げんなりすることが多いですが、
      自分の最善を尽くして生きるしかないかなぁなんて思っています。

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