アスリートは健康長寿の道か?

体を鍛えるの成功イメージの写真は、たいがい腹筋がしっかりと割れて、胸板が厚い彫刻のような男性だったり、見たこともない筋肉質の女性だったりする。

いわば「マッチョなアスリートになりたいだろ?目指そうぜ!」という目標が潜在的に提示される。

筋トレをするなら、ウェイトトレーニングをしてプロティンを飲んで、筋肉増量しないと価値がない、という信念にしたがってトレーニングする道に進む人が多い。

私もかつてその価値観に影響されて「体重を筋肉で増やしてマッチョになりたい」と思っていた。けれど、はたしてそれは健康長寿の道なのだろうか?と思う出会いがあった。

自重トレーニングのバイブルである「プリズナートレーニング」では、ウェイトトレーニングやマシントレーニングを不自然で関節を痛めると批判し、プロティンもいらん!と現代的なやり方を批判している。

ふーん、そんなこともあるのだろうか、と思っていたら、実際にマシントレーニングで体を痛めた人に会った。

その人は若い頃、私と同じくらいの体重55キロくらいの細身だったのだけど、
マシントレーニングなどで体重80キロまで増量し、リンゴを素手で握りつぶせるようになったり、ドアの鍵をねじ切るほどの筋力を手にいれた。

痩せ型コンプレックスの私としては、羨ましいサクセスストーリーだけど後日談がある。

歳をとって40歳になった頃に、関節が痛み、シビレがでてきて力が入らなくなってきたそうだ。
リンゴも潰せなくなり、それどころか普通に体を動かすことも制限されて、自分がやってきたことは本当に強さに繋がることだったのかと疑問が湧いた。
その人曰く「マッチョマンは全然強くない」

現在、私は18歳の頃と同じ55キロ。今もケトルベルや自重トレーニングで鍛えているけれど、ぜんぜんマッチョマンではなく、マッチョマン最高の価値観からすると失敗例だけれど、体の痛みは一切なく、自分で感じる体感年齢は20代の頃と変わらない。

現在42歳、この「トレーニングしても何も変わらない」という感覚は、実は隠れた成功ではないかと思うようになった。

20代の頃と同じ感覚でずーっと体を使える、私のトレーニングは20年の歳月にあがらうアンチエイジングになっている(この言葉は若さにしがみつくみたいくて嫌いだけど)
見た目はこれといって特徴のない体。
これこそが健康長寿の道なんだろうと思うようになった。

私はマッチョマンでもアスリートでもない、42歳になった今、思う。
だから良かったのだ。

無理して練習するアスリートも現役を引退すると体がボロボロで、色んなところに故障や怪我を抱えた体になる。
もっともっとと高重量を扱うボデイビルダーみたいなトレーニングをする人も、関節や体の筋肉バランスを崩して、慢性的な痛みを抱えることになる。

なぜか?
これは成長のカーブは正比例していないことから生まれる。
トレーニングは残念ながらやればやるほどレベルが上がる、ということはない。
ある一定のレベルを超えるとトレーニングの効果が薄れる。

たとえば、初心者の頃は少しの重量でついていた筋肉が、ある一定のレベルを超えたベテランになってくるとなかなかつかなくなる。

プラトー(高原)という停滞期にはいる。

その停滞期を乗り越えるのに、人は四苦八苦する。
このプラトーはなんにでも存在する。
ある一定にレベルに達すると、そこから先は山を登るのではなく、あたかも高原を歩くように上に登れなくなる。

アスリートと言われる人たちは、そのプラトーを打開するために長い時間をトレーニングしたり、さまざまなトレーニング法を試したりする。
それが体を疲弊させ、壊す。

でも、健康長寿を目指すトレーニングでは、そもそもプラトー(高原)を超える必要がない。
プラトーに入るほどのレベルの筋力や持久力があるならば、そのプラトーを維持すればいいのだ。

筋肉があればあるほど健康長寿か、といえばそうではない。
でなければ、世界の超高齢者はみんなゴリゴリのマッチョだったり、ウルトラマラソンランナーだったりするはずだ。
けど実際は、私が様々な本で学んだ限り、よく体を動かす生活をしている伝統的な生活をしている人たちだ。

現代人としては、ある程度のプラトーに到着したら、他の能力に時間を投資すればいいだろう。

しかし、プラトーを超えなければいけないものもある。
それは自分が人生の道と決めたものだ。

私にとってそれは瞑想(ヨーガ)で、私は日々、プラトーにめげずに歩いている。

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ちなみに表紙はボディビルダーのオリバだけど、プリズナートレーニングが目指しているのは、ギリシャ彫刻の神々のような自然な筋肉質だ。


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- 2019年2月16日

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