リクが人間に見えた瞬間
寝るときは、リクがウロウロしないように、ゲージに
入れるのです。
一般のよーく躾られているラブ様なら、
「ハウス」の一言で、さっさと入るのでしょうが、
リクは、そいういう日本語は理解しないようで、
じっと、私がオヤツを取りにいくのを待っています。
そうです、やつは報酬でしか動かないプロなのです。
オヤツを取りに行く私は、ゴルゴ13のような難しい
顔をしたリクに監視され、犬用ニボシが私の手に握られるまで、
けっしてゲージには入らないのです。
ええ、そうです。
言わないでください、気づいていますから。
注:「躾に失敗」という言葉は、このサイトでは禁句です。
で、リクは、がっちゃんとゲージのなかに入ったはいいのですが、
私がそのあとも、パソコンをいじっていたり、本を読んだりして
いると、リクは、
「ボクも出たいワン」とばかりに、ゲージを前足で、
ガシガシと引っ掻くのです。
で、私がその音に気づいて、リクを見ると、
それはそれは、すごい笑顔でリクが私を見ているのです。
「なんだ、おまえ、出たいのか?」
と呆れて言うと、
その瞬間、リクは、
すました顔で、「うん」とうなづいたのです。
偶然、頭を下げただけだと思うのですが、そのタイミングといい、
最高にツボに嵌った私は、大喜びでリクをゲージから出しました。
人間の子供みたいに見えました。
リクは、ゲージから出た後、部屋のなかをウロウロすると、
畳のうえに寝転んで、そのままグウグウ寝てしまいました。
ゲージから出た意味ないように思えますが、違います。
私が寝るときは、またリクをゲージに入れないといけないので、
プロのリクは、2回目の報酬を受け取ることになるのです。
で、太るのです。