第70回 散歩道 今日は、いつもは通らない散歩道を歩いたのです。 そこで出会ったのが、メスのミックス犬。 ミックスちゃんは、リクに気づいて、 犬小屋から、そろっと出てきました。 こういう場合、たいていリクは襲われる段取りになっているので、 すこし焦りましたが、私の心配はすぐに 消えました。 ミックスちゃんが、 リクにむかって
キューンと泣いたのです。
<寂しいからこーい!>と泣いているような感じです。 リクもリクで、そのミックスちゃんに向かってシッポふりふりです。 なぜか口からはヨダレがたらーっとたれています。 パンの耳でも見ているような顔です。 愛情表現の一種ですね。 「こ、これは相思相愛ってやつか!!」 そのまま自然にまかせて置いたら、子犬でも作りそうな勢いです。 リクとそのミックスちゃんは、お互いの匂いを嗅ぎあって、 二人してキュンキュン言っています。 いやー、でもリクとこんなに気が合うなんて、いい娘犬さんだーと 私は一瞬、ほのぼのしかけましたが、 ふと、「家の人が出てきたら、どうしよう?」と思いました。 これはヤバイ状況でしょう、私は何かし始めそうな二頭を、微かに笑いながら 見ているので、責任を問われそうな感じです。 「おおっ!ごめんリク、行こう!」 と綱をひいて、娘犬とリクを引き離しました。 リクは、すこし抵抗しましたが、電信柱を見つけると、 あっさり匂いを嗅ぎに行きました。 「なんだよ、さっきの必死な様子は、、、、、、」と 私は呆れたのです。 リクは3歩あるけば気分転換できる男なのです。 が、そのとき! きゅーん!きゅーん! とその娘犬ちゃんが、リクにむかって泣いたのです。 バックナンバー 表紙へ |
|||