第四号
お楽しみのディナー
私が晩飯を食べ始めるとき、リクはかならず
隣にきて、ピッタリとマークしています。
ハアハアという荒い息とともに、凄い笑顔で、私を見ます。
もう、腹が減ってしかたないという目で、
私のメシを見ていますが、カレ、自分のエサは食べ終えています。
犬よりも、飼い主が先ということで、私が食べ初めてから、
エサをやるのですが、リクはなにか憎いものをやっつけるが如く、
ドックフードを食べ終えて、のんびりと食事中の飼い主のところに、
走ってやってくるのです。
ドックフード臭い息で、私の口に
<ゴハンありがとう>のキスをしようとしますが、
私は、唇を近づけてくるリクに
「わかった、わかったから、あっち行って、静かに飯を食べたいんだ」
とお願いして、メシをゆっくり食べようとします。
あっち行ってと言ったのに、お願いむなしく、
リクは、ハアハアいって、
と至近距離に座りこみます。
この犬にとっては、これからが本番らしいです。
私が箸を動かすと、リクの視線が箸を追うようについてきます。
肉をつかむと、リクが舌なめずりします。
その肉が私の口に入ると、「ハッ」みたいな<何か落胆しましたワン、ワシは>
みたいなタメ息を吐きます。
私は、なるべく気にせず食べるのですが、
横でひたすら私の箸の動きに一喜一憂している犬がいるので、
食べづらいこと、このうえなし
しかし!
無視すること風の如く
静かに食べること林の如く
箸をすすめること火の如し
やらないこと山の如しである、
がんばれ、俺!
負けるな!風林火山の心得だ!
と、いまは亡き武田信玄公のような顔つきで飯を食うはめになります。
しかし、腹が一杯になると、気分が丸くなって、
「この野菜ならやってもいいな」とか
「この肉だったら、あんまり塩がふってないから大丈夫かな」と考えたりします。
で、結局、ミニトマトとかパセリとかやってしまうワケです。肉とかも。
あっ!、、、、、だからリクは私のところに来るわけですね
反省します、、、、、、、、
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