第46回
飼い主は敵
私はリクを見るとき、人間を見るようにみてしまいます。
それと同じように、リクは私のことを犬だと思っています。
それは、あるブツによって判明したのです。
おれは、ある日のことでした。
リクが<ブツ>を噛んでいるので、
「見せてー」と言って、リクに近寄ると、
大慌てで逃げました。
まるで、私がブツを取り上げて、独り占めする気だという疑惑の目で
見ます。
リクはブツをくわえて、隣の部屋に移動し、私の動きが見える場所に
座り、ブツを噛みはじめました。
<油断ならねえ、、、、おれのブツを渡してたまるか、、>
という野良犬の様な目で私を見るのです。
「お、おまえ、おれがそんなに、その汚いのが欲しいと思っているのか!?」
と言って、リクに近づくと、ズサッと立ち上がり、逃げる準備をします。
あのブツの魅力が、飼い主と飼い犬の絆をぶち切ったのです!
そのブツとは!
リクは、私がそれを奪いたがっていると思っている。
それは
汚い犬用ガム
、、、、、、、、いらないし。
こんなの噛む人間はいないよ、リク。
ちょっと見たかっただけなんだ。
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