週刊リクニュース

第38回

炎のお手


家に帰り、座ってしまうと、「散歩に行こう」という気に

なりません。

疲労困憊です。

「もう今日はカンベンしてくれー、夕方、母さんを行ったから大丈夫だろ?リク?」

と座りこんで、ブツブツ言う私をみて、リクがヘラヘラ笑っています。

リクは、朝から夕方まで、家のなかで寝転がり、クーラーに

あたって体力を温存しているので、散歩に行く気がみなぎっています。

絶対に、散歩に行くんだ!

行けないはずがない!絶対に行けるぞ!へへ

楽しいナー、まだかなー!

というセリフが似合う、疑うことをしらない笑顔でずっと私を見るのです。

「しかたない、、いくか、、、、散歩、、、、」

とまったく気力の抜けた声で呟くと、リクが飛び跳ねて大喜び。

しかし、私だけリクの言うことをきくのは癪なので、

芸をさせることにしました。

リクの課題は、お手です。

リクの奴を座らせ、お手!と言っても、

そろーっと太極拳でもするかのように、ゆっくりと、

しかも嫌々な顔で私に前足を差し出すのです。

もう、本当に渋々、といった感じです。

しかし、性格のいい私は、

「もしかして、リクは体が悪いのかな?座った状態で、前足を上げる、

というのは、無理があるのかも、、、、心配だなー」

と優しく解釈していたのですが、

散歩に行こう!行こう!行こう!と興奮状態のリクを座らせて、

「お手」

と言うと、

シュタッ!

と音がでるくらい素早くお手をしやがりました。

つまり、お手がゆっくりだったのは、ただ嫌だったからみたいです。

ほっほー、なるほど。

「お手!」

サッ!

「お手!」

サッ!

「お手!」

サッ!

と気持ちいいくらいに素早いお手をするリク。

「よっしゃ!散歩に行くぜ!」

となぜか私まで元気になって散歩に行ってしまいました。

なんか犬に操られている気がする、、、、




目次へ
表紙へ