第36回
優しさ
最近、巨大なブラジル人に締められたり、そのブラジル人を
蹴って、弁慶を怪我したりと、身も心もボロボロの私です。
そんなときも、リクの散歩は行くわけです。
足に湿布をして、
「あいたたたた、いたたたた」
と弱々しく歩く飼い主。
リクはカジキマグロのように猛烈に引っ張る犬なので、
かなり暗い気分で散歩に行ったのです。
いつもは松方弘樹の私ですが、今日という今日は踏ん張りがきかず、
海に引きづりこまれそうです。
しかし、リクは!
「大丈夫かワン?平気かワン?心配だワン、、」
とリクは弱った私に会わせて、
ゆっくーり歩いてくれるのです。
ぜんぜん引っ張りません。
優しいじゃないか、おまえ。
私は感激しました。
そして、私はこれだ!と閃いたわけです。
犬の情に訴えるという訓練術を思いつきました。
もう足は治ったのですが、今日の散歩で、
リクが引っ張ると、「いたっ!痛い!」
と怪我したふりをしてみました。
が、リクはシカトして、ガンガン自分の行きたいところに行きます。
なかなか鋭いじゃないか、リク
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