第30回
遭難?
休みの日の恒例になった裏山散歩。
やはり、自然のなかに放されたリクが一番、
生き生きしています。
リクは綱から離れて、自由に走り回るわけですが、
なにを思ったのか、急斜面を降りかけ、
「あっ!バカ!降りるなー!」
と言ったころには、転がるように斜面を降りていきました。
斜面は、かなりの角度で、
もう「崖」と命名してもいい場所です。
私が降りていったら、絶対、登ってこれないと、確信できます
大変です!
「や、野郎!なんてことだ!」
リクは、飼い主の動揺も知らず、斜面の下で、草の匂いを
嗅いだり、おしっこをしたりしてエンジョイしていますが、
私はどうやってリクを救出するか脳内作戦会議。
<私も崖下に降りて、リクと一緒に麓を目指す作戦>
という最悪の作戦を思いつきました。
家にロープをとりに行って、それで救出するという作戦も
思いついたのですが、とりに行っている間にリクがどこかに
行ったら、困るのでそれは駄目です。
が、
頭のなかを二次遭難という言葉がよぎりました。
迷った人を助けにいった人も迷うという最悪なケースです
携帯をみると、電池が切れかかっています。
いくら標高の低い裏山でも、馴れていない私とリク
は遭難して死亡という可能性もあるわけです。
なんで、こんなことに、、、、、!
とだんだん腹がたってきました。
リクは下で、地面をフガフガして幸せそうです。
「アホーっ!リクのアホー!」
と正直な感想をリクに叫ぶと、リクがピクッと反応して
斜面上に私を見ました。
その瞬間
リクが崖みたいな斜面をグオオオッと登ってきた
ま、マジで!キミ、肥満だけど凄い脚力だね。
とリクを見直しました。
もし、私がリクを助けるために降りていったら、
リクだけ登っていって、私だけ、崖下に取り残されるとこでした
リクに助けを呼んできてもらうような事にならなくて、
よかったです。
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