3回
笑う犬
家に帰って、うぃーっとくつろいで新聞を見ていると、
リクがとことこやってきて、隣に座ります。
もう疲れているので、義理程度にヨシヨシして、
新聞を見ていると、ハッハッハッとリクの息が聞こえてきます。
気配的に、どうやら笑っているようです。
犬が笑うの?という疑問もあるでしょうが、犬だって笑います。
学術的にどうのこうのはわかりませんが、散歩中や撫でたときなど、
笑っているような感じがするのです。
笑うのはいいのですが、
あまりにもハアハアうるさいので、
「野郎、なにがそんなに楽しいんだ?」
と、リクの方をみると、サッと、リクは深刻そうな顔をします。
「あれ、、、、?」
リクは、実にクソ真面目な表情で、私を見ます。
鼻のしたの黒い部分が、チョビ髭に見えるせいか、じつに偉そうで
<あ、君、この前、やれといった仕事の件だがね、
報告はまだかワン、まったく遅いワン >
みたいな、嫌な幻聴が聞こえます。
「ふううう」
と私は真顔に戻って、新聞に目を戻します。
しばらくすると、ハッハッハッと笑っているような息が聞こえます。
私が見ると、リクはサッと深刻な顔をします。
そこで、また新聞を見ます。
またハアハアと笑う気配がするので、そっと横目でリクみると、
じつに楽しそうな顔で、新聞を読み私を見ています。
<もうほんと俺の飼い主って最高だワン
横顔がほんとに面白いワン>
みたいな笑顔です。
私が、ふりかえると、じっと深刻な顔をする。
「なんだよー、難しい顔すんなよー」と撫でてやると、
エヘヘヘヘとじつにいい顔で笑います。
おもしろい奴です。
基本的に飼い主の観察が趣味のようです。
追伸
書いてて気づいたのですが、あの深刻な顔、
アレは飼い主の命令まちの忠犬リクの顔ではないか?と思いました。
だから、私がリクを見ると、
「大将!ご命令は!」
という感じになるのです。
ん、でもおかしいぞ?
でも、リクは「お座り」とか「お手」とか
いっても、渋々やる。
一体、なんの顔なんだろうか?
笑うリク
笑う写真って撮るの難しいです。
すぐに「え、何だワン」みたな顔になるからです
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