第12回
サイキック犬
ある日のこと、仕事が早く終わったので、おとなしく家に帰りました。
いつもは本屋によったりするのですが、リクとたくさん散歩する気でした。
家から離れた場所にある駐車場に車をとめて、
家に向かうと、遠くから、ワン!ワン!ワン!と犬の吠える声が聞こえる。
「はて、どこの馬鹿犬が騒いでいるんだろうか?」
と、うすうす正体に気づきながら、そう思います。
で、家に近づくにつれて、どんどんその声は大きくなります。
やはり、うちのワンコだ、、、、、
ワン!ワン!ワン!
激しく近所迷惑だ、リク。
「ただいまー」と家の扉をあけると、リクが飛び出てきて、飛び跳ねて喜びます。
私の帰ってくるのがわかって、吠えていたみたいです。
どうしてわかるのか?
離れた駐車場に止まった車の音が聞こえたとは思えないし、
足音で気づいたとも思えない。
うーん、と考えこんでいると、母親が
「あんたが早く帰ってくると思って、リクは散歩を早めに切り上げて、待ってたんだよ」と言う。
謎だ、どうして仕事を早く切り上げて帰ることがわかるのか?
考えこむ私に、母親がさらに言う。
「あっそうそう、リク、ウンコしてないから、すぐに散歩に行って」
というワケで、私は休む間もなく散歩にゴー
リクはサイキック犬です。
<飼い主の帰りを察知して、ウンコもせずに散歩を切り上げる超能力>
私的には、かなり迷惑な能力。
ていうか、いらない、そんな能力。
だれか、この能力のスイッチの切り方知りませんか?
どうせなら、
<地底に埋もれた、大判小判の類を掘り出す能力>
<山に分け入り、松茸を採ってくる能力>
など、マネーになりそうな能力を身につけて、リク。
しかし、それだけ飼い主のことを思っているという証拠でしょうか。
かわいい犬です。
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