週刊リクニュース

2月8日
セルシオをどける作戦



セルシオ、それは日本最大のメーカー、トヨタが誇る

最上級セダン。

排気量は4000CCくらいあり、シートは皮貼り、ガソリンがハイオク、

そしてリッター4、重量税、がっぽりとられるという

リッチマンの乗る車です。

財布に優しいプリメーラに乗っている私は、まず一生縁がないと

断言できる車。

その車が、我がプリメーラのまえに止められていたのです。

「で、出れない!」

職場の駐車場、私のプリメーラはそのセルシオをどけないと

脱出できないという状況です。

じつはそのセルシオ、私の上司が乗ってきているもので、

もっと働いていけ、この野郎」と暗示しているかのような

車の止め方でした。

が、私はたそがれリク兄なんで、

帰る!と鉄の意思をもっているのです。

職場に戻り、「えへへへ、上官殿、車の鍵ください、帰ります」と言うと、

車の鍵を貸してくれました。

で、駐車場に戻り、リモコンキー?でドアのロックを解除しました。

そのとき、

「おっ、どうしたの、その車?」と突然、声をかけられました。

先輩のミステリアスHさんです。

我が部署のなかで唯一、楽譜が読め、しかもビオラまで弾ける

という音楽家で、なんとなくミステリアスな方なのです。

ゴージャスな白いコート(ふさふさつきの)が似合う男。

「いやー、おれの新車です」みたいなベタなボケをかましておきました。

高級車セルシオには、Hさんも興味があるらしく、なかをのぞき込んで

いました。

で、エンジンをかけたのですが、やはり静かです。

4000CCもあるので、それは静かです。

足元をみると、ペダルが3つありました。

セルシオはオートマなので、一番左側のやつは何だろう?と思って踏むと

キチ!とサイドブレーキがかかりました。

ああ、そうか、これはフットブレーキってやつか。

そういえば、トヨタのラウムもこんなフットブレーキがあったっけ。

解除して、車を出すか、、、

と思って、ブレーキを踏んで、再度、フットブレーキを強く踏むと、

キチキチ!って、さらに強くフットブレーキがかかった!

「ええっ?ありえない!!何故!」

と私が驚いていると、H先輩が微笑んで、

「ほら、どいて、おれがやってみるよ」とおっしゃいました。

音楽一家のH先輩は、

こういうリッチな車にいかにも馴れている、という

感じでセルシオに乗り込み、

「ほら、ブレーキを踏んで、こうやってフットブレーキを!」

と私と同じ手順を言い、

「えーい!」とフットブレーキを踏む。

ギチギチギチ!とフットブレーキがさらに強くかかりました。

「あれ?おかしい!?」

H先輩は私の冷たい視線を浴びながら、しばらく奮闘し、

この車、変」といって、降りてきました。

けっきょく、セルシオは動きませんでした。

H先輩の車をどかし、私が思いっきりハンドルをきってでれば、

プリメーラが出せる、と気づいたので、

上官殿に車の鍵を返しにいって、

おもいっきりフットブレーキかけました!とご報告。

なんでも、話によると、フットブレーキを解除するレバーが

あるらしいです。

知らなかったー!



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