週刊リクニュース

第47回


8月17日

石川ファイトクラブ


じつは私、20歳まで中国拳法と空手をしていました。

ちなみに、最近はぜんぜん練習していないません。

そんな私が今日、「スパーリングオフ会」という

<軽くお手合わせしませんか?>というニュアンスの

ソフトファイトクラブに参加してきました。

家を出るとき、母親が呆れていいました。

「あんた、全然、練習してないじゃない、やられに行くの?アホなの?」

と冷静なことを言いました。

が私は、

「大丈夫、大丈夫、おれ様がやられるワケないじゃん、へへ」

と少し頭がおかしいほど余裕しゃくしゃくだったのです。

もともと、スパーリングというのはお互いに加減してやるため、

弱くても大丈夫なのです。

私は、攻撃を受けた時に、怪我しないためのサポーターも、空手着も持たず、

ジャージとTシャツという舐めきった姿で、参加したのです。

現場についた私は、更衣室に入った瞬間、

「し、しまった、来るんじゃなかった、、、、!!」

とおもいっきり後悔しました。


一番、手前にいたのは黒い空手着のやたらゴツイ男

ヤク○さんかと思いました。

生まれれ初めて、黒い空手着を見ました。

あんたはベストキッドのコブラ会の生徒か!

と今ならば、冷静につっこみをいれられるのですが、

危険な香りがプンプンする現物の前では、そんなこと言えるばずもなく、

「あ、失礼します、失礼します」

と低姿勢で中に入りました。

そこにいた柔術の方々が、また凄かった。

柔術というのは、やたらと昇段できない世界なんですが、

そこには青帯と紫帯の方がいました。

とくに紫帯のかたは、
日本に数人しかいないと思う

どことなくヒクソングレイシーみたいな雰囲気すらあります。

やばい、このメンバーはやばいだろ!

唖然としていると、私の後ろから誰か入ってきた。

「センセイ、ジュースデス」

とポカリスエットを持って、

190センチはあるブラジル人

目の前を横切った。

そのでかいブラジリアンは、紫帯様の弟子らしい。

もう悪夢の世界です。

逃げようかと、思っていると、主催者さんが

「始めるので、柔道場に整列してください」

と言った。

私は、もう悟りの境地でしたね。

「大丈夫、
たぶん、死なないから、死なないから」

と自分を励ましながら参加することにしました。

私のほかに、あきらかに一般人という感じの人たちが数人いたので、

すこしはよかったです。

寝技のスパーリングで、その
柔術家の紫帯様に相手をしていただいたのですが、

もう桁違いでしたね。

じつは私、関節が柔らかいため、そうそう簡単に極まらないのですが、

あっという間に動きをコントロールされ、三角締めで悶絶。

「あ、おれ、このまま締められたら
死ぬ」と本気で思えました。

私は打撃系なので、寝技で柔術家にかなうはずがないんですが、

それでも、なんとか死なずに寝技の時間を乗り切ると、

今度は打撃のスパーリングの時間になりました。

私の得意分野なので、

「やった、
すこしはマシなはずだ

と思っていると、

私の相手は
黒い空手着のゴツイ方。

締めている帯は、もちろんブラックベルト。

「あいた、いたたたた 撲殺されるー」と思いましたね。

スパーリングが始まりましたが、黒い空手着の方はあまり攻めて

きません。

どうやら
息が上がっているようです

普通なら私が主導権を握って、攻撃するんでしょうが、

残念ながら、
私も息切れしてイッパイイッパイ

達人対達人のように、お互いに動かずに終わりました。

で、つぎに相手をしてくれたのが、

190センチのブラジル人。

私、169.5センチしかないのです。

もうリーチが違いすぎます。

足が長い!

手が長い!

その方は柔術家で、打撃は得意ではないはずですが、

その素人パンチキックが、まったく手におえないシロモノでした。

こんな外国人と戦っている桜庭とか武蔵は、本当に凄い、と思えました。

で、終わったときには私はぼろぼろ。

相手の足を蹴ろうとしたとき、膝と私の弁慶が衝突して、

しばらく歩行不能になるというオプション付。

しかし、終わったときは試練に耐えたような気がして爽快でした。


死ななくてよかったです。


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