週刊リクニュース

2月17日
上級者+ささやき

今日は瀬名高原でスノーボード。

いやー、新しい板CUSTOM、ビンディングCUSTOM 靴RULERと

いう新装備のおかげもあるけど、

瀬名高原の斜度がとても緩く感じる。

上級、中級コースを滑っても、

「ここが?これが?」

と頭が?マークになる。

おかしい、、とキツイ斜面をめざして瀬名のゲレンデをあちこち滑ってみるけど、

「緩い、、、、!」

今までは、上級者コースになると肩に力が入り、緊張から視界が狭まり、

なにも見えなかったのですが、今日は転がっている石みたいな雪すら見える!

そうです、とうとうやったのです。

私は上級者になったのです。

今年のボードの目標「上級者コースを楽しんで滑れる!」が

成就したのです。

まあ、上級者と自称しても、「カジノロワイヤル」の若きボンドの

ように「かろうじてダブルオー」という感じなのですが、

それでも上級者なのです。新米ダブルオーのボンド君のように、

さらに難しい斜面に挑戦して、

どっからどうみても、どんな斜面に

入っても上級者になればいいのです。

ふふふ、あとは「ショートターンの鬼」こと O氏を越えるだけです!



やったー、とボードを滑っていたのですが、午前中で切り上げました。

じつは風邪がまったく治っていなくて、熱が37度。

好きなことだから動けるという感じですね。

好きなことって凄いです。

ボードをしまって車に乗ると、急にゴホンゴホン咳が出始め、頭が痛くなる。

うむむ、これは帰りに川北温泉でサウナでも入って汗をしぼり、

風邪を完治させるかー、と湯治をしました。




かけ湯をしてサウナにはいると、

ふと、あるおじさんに目がいきました。

足を開いて、サウナのコーナーに陣取って、

頭をのけぞらせるようにして寝ている。

それを見た瞬間、


やばい



と何かがささやいたのです。

あれ?このおじさん、もしかして倒れているのか?

やばいのか?

と観察しながらサウナで汗を流す。

サウナの中には4人くらいの人がいて、テレビではサスペンスをやっている。

いつものサウナ。

まさかな、あはは、と思っていると、寝ているおじさんの足が

貧乏揺すりをするように動いたのです。

なんだよ、やっぱり寝てるのかよ!まぎらわしいなー

と私はサウナを出て、水風呂に入りました。

しかし、何故か気になる。

胸騒ぎがする。

寝ていた?本当に?

足が貧乏揺すりしていた。

だから、寝ていたんだよ。

でも。

やばい、やばいよあれは、、、、、というささやきが消えない。

脳は意識に現れない部分で、膨大な情報を収集している。

確かに寝ているように見えて、足は貧乏揺すりしていたけど、

これはもしかして、本当にやばいのか!

サウナにとって返すと、

寝ているおじさんは、身動きもせず
嘔吐していた!

「やばい!」

と入ってきたなりの私が叫んだ瞬間、サウナの中のすべての人が

立ち上がった。

やはり、私と同じように、みんなうすうす気がついていたのです。

サウナから出せ!と全員がチームのように動きました。

私が抱えようとしたのですが、完全に脱力した人間の体のとらえどころの

ない重さ!持ち上がらない!

しかし、サウナの中には相撲取りのように大きな人がたまたまいた!

その人が火事場のクソ力的に持ち上げ、私は足を持ち、他の人が

扉を開き、締まらないように確保していると、

そのまた他の人が
救急車を呼ぶべく通報に走ってくれる!

いま考えると、素晴らしいチームワークです。

誰一人、無駄な行動ゼロ、迅速!

倒れていたおじさん、呼吸はしているけど、意識なし。

心臓はバクバクバクバクと早鐘のように打っている。

サウナから出した私たちは、とりあえず体にムリがかからない範囲で

冷やそうと、冷水でしぼったタオルを頭にまいた。

首筋に頸動脈があるから、そこを冷やすといいかもしれないと首も冷やす。

そうしている間に、救急隊員がきた。

担架の乗せられて運ばれるおじさん。

ああ、よかった、、、、、!と一安心でした。

最初は「おれ、人助けできたなー!」と思って風呂にのんびり浸かっていた

のですが、少し時間がたつと、

おれはサウナに入った時点で気がついていた!

という事実がだんだん重くなってきた。

最近、私は脳って凄いと知った、

まさに私の脳は、潜在意識は、サウナに入った瞬間、

私に「あれはやばいよ!」と教えたのです。

でも、私はそれを無視した。

まさかそんなことないよ、ほら、足だって貧乏揺すりしてるし、、、と

痙攣している足をみて、バカな判断をくだした。

それでも気になって、私がサウナに戻るまで5分、

もしかして10分はたっていたかもしれない。

何故、嘔吐するまで事実を認めなかった!?

早ければ早いほどよかったのに!

バカめ!おまえは気づいていた!

しかも、私は救急隊員がきた時点で「助かった!」と思ったけど、

ほんとうだろうか、、、、、と思えてきた。

あのおじさんは、私がサウナに入った時点ですでに倒れていた。

いったい、どれくらいの時間、80度を超えるサウナにいたのか、、、、、、、

そう考えると、希望的な気分はあっという間に消え去る。




でも、でも、助かっているかもしれないとも思う。

物事には何事にも意味がある、といった人がいます。

もし、それが本当なら、私が風邪をおしてボードに行き、

その帰りにサウナに行くということにも意味があるのかもしれない。

そして、私は今、脳や無意識の働きに興味があって、それが頭の

片隅にあった、だから気がつけた。ヒーローきどりをする気はさらさらない

のですが、私がいなかったら、さらに救出は遅くなっていたのは事実です。

私は非力な人間ではないのですが、その私でも持ち上がらない体を

持ち上げた相撲取りのような彼が、たまたま同じサウナの中に

いたのも意味があるのかもしれない。

まるでチームのようにして動いた人たち、あの迅速な人たちが

いたことも意味があるのかもしれない。

スピリチュアルなことを信じるのは危険が伴うけど、

あそこにいたメンバーは、まるで用意されたようでした。

そう信じたい、と願う私の願望が強引な意味をつけているのかもしれませんが、

そう信じたい。

すべては意味があって、あのおじさんは助かると。





これを書いている最中、それを確認する方法があることに気がつきました。

電話してみればいいのです。

川北温泉に聞いてみれば、搬送さきの病院がわかる。

病院に問い合わせれば、容態がわかる。

簡単なこと、思い悩むまえに気がつけばよかった。

電話してみると、搬送先の病院がわかり、そしてご家族の方から

川北温泉に
「助かりました!」と電話があったそうです。



助かったんだ!

泣けてきた。

よかった、と単純にそう思います。

じつはサウナから救出した人々は、みな一様に私と同じように

うなだれていたからです。

口には出さなかったのですが、「なぜもっと早く気がつかなかった!?」

と思っていたのは雰囲気からすぐにわかりました。



でも、俺たちはやったんだ、俺たちはみんなで人の命を助けた。

これは誇ってもいい。

ああ、あのサウナ室にいた人たちと祝杯があげたい気分です。



最後にこの出来事で気がついたこと。

街で倒れて、誰も気がつかなくて死んでしまった、という話しを

聞いたことがありませんか?

あれは、実際、目の当たりにすると

「いや、まさかな」と自分の日常に起こりえないこととして、

無視させるような感情がおきるのです。

サウナだって、今考えると「サウナなんかで熟睡できる奴がいるわけない!」と

わかるのですが、実際に目にすると、だれもが気がつかない!

おかしいと思っても、「まさかな」で終わってしまう。

だから、サウナや街で具合の悪そうな人がいて、

少しでも「やばい?」と感じたら

声をかけましょう!

第一印象というのは、信用できるものです。


体のことを心配されて怒る人はいません。

もし、違っていたら謝ればいいのです。

私はこれで懲りましたから、今度は即座に声をかけます。

はあ、それにしても助かってよかったなぁ。




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