週刊リクニュース

5月23日
盾(シールド)


村上龍さんの新刊「盾」。

13歳のハローワークで挿絵を担当した「はまのゆたか」さんと

作った絵本なのです。

絵本といっても、大人が読んでも充分なほど深い話なのです。

2人の少年が中年になるまでの人生の話なのですが、

現代社会の問題や成功、挫折、あらゆるものが盛りこまれた

リアルストーリーです。そして、最後には心が温まる素敵な話。

読み終わったあと私は感動し、そして、

「おれは間違っていた、、、」と愕然としました。

人が心を守るときに使っている「盾」という考えが

少年2人の人生をとおして、わかりやすく説明されたとき、

自分の間違いがわかったのです。

私には現在「ひきこもり」をしている友達がいるのですが、

彼が何故、そうなってしまったのか長い間理解できなかったのでした。

小学校からの付き合いで、彼は漫画家、私は小説家を目指して

上京。そして二人とも挫折、、、、、お互い敗者となったはずなのに、

彼と私のうけたショックがあまりにも違いすぎました。

私はその当時、彼のことを根性がない、と思っていたのですが、

違っていました、、、、我ながらアホです。

なぜ、彼が家に閉じこもるしかなくなったのか、、、、、それは

「盾」の考え方を借りるなら、

彼は盾を1枚しかもっていなかったからなのです、、

たった一枚しかない、自分のなかで最高の盾が破壊されたのです。

私は2枚もっていた、、、一枚が壊れても自分を守ることができたのです。

盾が壊れて、自信の欠片も残っていない彼が

何らかの行動を起こさないのを見て、私は彼を励ましました。

今思えば、足が折れた人間に歩けと励ますようなものでした。

彼はまわりのあらゆる人間から励まされ、

精神の均衡を失い、家から出なくなってしまいました。

それがわからなかった。

自分の励ましは、正しかったけど猛烈に間違っていたのです。

こういう本が10年間に出版されて、自分のなにが起こったのか、

そして彼に何がおこったのかを具体的な概念で

理解できていたら、、、、、もっと彼の心境にそった言葉を

かけられたのにな、、、と思います。

「盾」で説明される考え方は、とてもシンプルで簡単なもので、

知っている人は沢山いるでしょうが、はっきりと理解している

人はすくないのではないかと思います。

思春期の青年、忙しく働くサラリーマン、挫折した人、

そんな人にぜひ読んでもらいたい一冊です。

オススメ度100%でございます。










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