週刊リクニュース

2月5日
深読みロードオブザリング



何故か気になる映画、「ロードオブザリング」

どうしてこんなに気になるんだろう、と分析してみると、

ファンタジーでありながら、「人生」を深く比喩している映画である

のが理由でした。

先祖が犯した過ちにより、知らされた人間の弱さに怯え、

王座につく自信も失い、さすらい人になった王位継承者のアラゴルン。

このアラゴルンが旅の仲間とともに戦い、王となるのを見ると溜飲が下がるのです。

私だけではないと思う。

だれしも一度は敗北し、傷ついた経験があると思います。

トラウマというやつです。ほっておけは治ったりするのですが、なかには

強力なものがあって、それが強烈な影響力をもって人生を歪めてしまうこと

があるのです。

本来は自分を守る作用をするはずのものが、足枷になる。

アラゴルンは傷つき、希望と自信を失い、ただ世界をさすらうだけの人生を

送っていた。

そんな時に、指輪を破壊するためにモルドールの滅びの山にフロドたちを

送り届けるという使命を持ちます。

その使命で戦い、葛藤し、また戦うアラゴルン。

そんな戦いを経て、過去にサウロンによって折られた剣が

ふたたび鍛えられ、アラゴルンの手に戻るのです。

このあたりから、アラゴルンは過去の自分と決別していくように見えます。

剣を渡されながらも、「私は自分に希望を残していない、、、、」と言うところが

深い絶望感と悲しみを感じさせますが。

それでも、亡霊の住む山に仲間と向かうのは義務からか、勇気からか。

過去の亡霊との対峙。

普通の武器ではまったく歯がたたない亡霊たちに囲まれ、

なすすべもない仲間たち。

亡霊の王が剣を抜き、アラゴルンに襲いかかったとき、

アラゴルンが鍛え直された剣で、亡霊の剣を受けるのです。

受けられるはずのない攻撃を防いだ剣に驚愕する亡霊の王。

「まさか!折れたはず!」

「ふたたび鍛え直されたのだ!」とアラゴルン。

この瞬間はまさに、自分の人生を支配していた過去のトラウマを

逆に支配し、強力な軍隊(力)を自分の指揮下におくというシーンに見えるのです。

結論としてアラゴルンは、トラウマの奴隷だった

自分という人間を統治する王になることに

よって、同時に中つ国の王になったのです。

そういう物語なんです。

ちょっと考えすぎでしょうか、でも、ロードオブザリングのキャラクターって

それぞれが人間の側面を表しているようで興味深いです。



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