週刊リクニュース

7月27日
失踪事件

田舎のいいところは、歩いている人が少なく、散歩しやすいこと。

公園も空いていて、犬がとても飼いやすい。

深夜の散歩で公園にいくと、まず誰もいない
(ときどきヤンキーやカップルがいるけど)

というワケで、深夜の散歩で公園に行くと、

リクを綱から放し、自由にさせるのです。

最初、2.3回、ボールを投げて遊ぶと、リクはすぐに飽きて、

茂みや木の匂いを嗅ぎに行くきます。

私は、その間、
怪しい拳法の動きを繰り返したりするのです。

「はあ、夜の公園は最高だなー」と体を動かし終わり、

「おい!リク行くぞ!」

命令しました。

私の行っている公園は、けっこう広く、無理をすれば野球くらいできる

んじゃないかと思えるほどの広さで、周囲は銀杏や松などの木々で囲まれ、

かなりいい公園です。

リクは、遠くのほうで私の方をチラッと見ましたが、

ぜんぜん戻ってきません。

く、くそ犬め、、おれがこのまま帰ったらどうするつもりだ!」

思い知らせてやる!とささっ、と銀杏の木の陰に隠れました。

ふと振り返ると、飼い主がいない!、これはけっこうショックなはずだ!

私は隠れながらリクを監視します。

私は、かなり、というか
完全に怪しい人です。

夜の公園で、木の陰に隠れている人を発見したら、たぶん相当怖い。

私がもし、そんな人を見かけたら、発見せずにそっと逃げ出すでしょう。

さて、リクは飼い主様が隠れているとも知らず、

あちこちの匂いを嗅ぎまくりです。

「ふふふ、早く気づけよ。」

などと眺めていると、リクがふっと茂みの中に消えました。

2分、3分、4分、、、、、、、、

リクの姿が見えなくなると、ふと恐ろしい想像がわき起こります。

公園の外に出ていったんじゃないだろうか?

私がいないことに気がついて、闇雲にどこかに走って行ったんじゃないか?

そして、そのまま行方不明になり、もう会えなくなるかもしれん、、、、

「うむむむむ」

木の下で悩む私。

もうこんなイラズラは止めだ、楽しくなくなってきた。

私は木の陰から、走り出ると

「おおおい、リク!」

と大声で叫びました。

公園はシーンとしています。

「おい、嘘だろ?ええ?」

私は「リク!リク!」と呼びながら、公園内を走りました。

やばい、本当にいない!

「おーい!リク!」

体の力が抜けていきます。

どこに行ったんだリク、、、、おれがアホなことしたばっかりに、、、、

後悔で、足がとまり、とぼとぼと公園を歩くと、

ガザッと茂みから、リクがでてきました。

しかし、リクは私のほうを
チラッとも見ずに、

地面の匂いを嗅ぐのに一生懸命です。

「こ、このクソ犬、、、、人が心配しているのに、、、、、」

私は、今度はリクが慌てるように、

公園の出口に向かって思いっきり走りました。

ちらっと背後を振り返ると、リクは飼い主が走り去ろうとしているのに、

まだ地面の匂いを嗅いでいます。

ふざけやがって!

私は、ささっと出口付近の銀杏の木に姿を隠すと、

ハアハア言いながら、また隠れるプレイを開始しました。

こんどこそ、絶対にリクがビビるまで隠れ続けてやる!

これは教育だっ!飼い主の「来い」に背くと恐ろしいことが

まっているのだッ!おれはもう妥協しない!

焦れ、焦るんだ、リク。

と私は決意を新たに、監視を始めたのですが、

またリクが茂みに、ばさばさ入っていきました。

私はヨガのウジャイの呼吸で、わき上がる邪念、妄想を払い、冷静な目で

茂みを見続けます。

2分、3分、4分、、、、、、、、、

クーン

クーン、

どこからか犬の鳴く声が聞こえる、、、、、、

リクの声じゃない、もっと小さい犬、

ハッ!そういえば、この公園の横にある民家にはメスの柴犬ちゃんが

いて、リクはいつもその柴犬ちゃんを追いかけまわしていました。

あ、あの野郎!もしかしたら、柴犬ちゃんの家にお邪魔しに

行ったんじゃなんだろうな!

「リクゥゥ!」

私はたまらず走り出しました!

他人様に迷惑をかけるわけにはいきません!

「リク!戻ってこーい!」

と私が大声で叫ぶと、リクがまったく見当違いの方角から、

たったったと走ってきました。

どうやら、柴犬ちゃんの家には行ってなかったようです。

「なんだー」

私は力が抜け、ようやく自分の独り相撲にアホらしくなりました。

脱力したまま、楽しそうなリクに綱をつけて、

帰りました。

おれは一体、なにがしたかったんだ?

リクは私を引っ張られながら、ハアハアと楽しそうに電信柱に小便を

ふりかけました。




戻る
バックナンバー