週刊リクニュース

5月16日
ハードボイルドであります


最近、私がぞっこんはまっているのが

ハードボイルドな探偵小説。

原寮先生の沢崎シリーズにもうめろめろです。



「そして夜はよみがえる」
「私が殺した少女」
「天使たちの探偵」
「さらば、長き眠り」
「愚か者死すべし」



の5作を堪能し、すっかり原寮ファンです。

沢崎という探偵は、50すぎの渋いオヤジ。

自分の信念にひたすら忠実で、金にはなびかない男。

鋭い洞察力と強靭な精神力の探偵。

私との共通点は、あんまりないのですが、

ただ一つ、

<私は、まだ走るというだけの理由
で乗っているブルーバードを>

という一文がどんぴしゃり。

ミーミーも!「ただ動くというだけの理由」で

プリメーラ乗っているよ!と嬉しくなりました。

「クーラーの効かない車に乗っているなんて、おかしいよ!」

などと言われたこともありますが、

これがハードボイルドってもんだぜ!

と意味不明の自信がモリモリ湧いてくるのであります。

明日から、うつむかないで生きていけます。

そういえば、某掲示板の書き込みで、

ある相談が書き込まれていました。




<「タフでなければ生きていけない、
優しくなければ生きていく資格がない、、、」
というセリフを現実世界で言いたいの
ですが、だれも
「どうしてあなたは、そんなにタフで優しいの?」
と聞いてくれません。どうすればいいのでしょうか?>



ふうう、深刻な悩みですね。

ハードボイルド小説のセリフって、現実世界に持ち込むと

とたんにアホっぽくなる、はかない命なのです。

強引にもっていくと、相手はドン引きです。

しかし、しかしです。

こういう小説を読んでいると、だれもがこういう

会話をしてみてえええ、と
を流すのです。

そういう私も、こういう会話をしてみたい。




「勝ち目はどのくらいだ?万が一か?億が一か?兆が一か?」
血を吐きながら。
「それがたとえ那由他の彼方でも、おれには充分すぎる」





いってみてえええ、かっこいいい!

逆境でも諦めない男、かっこいい!

これこそ、ハードボイルドな男のセリフだぜ。

しかし、しかしです。

現実世界で、たとえ優しさからでも、私にそういう会話を

ふってもいけません。

だって、恥ずかしいじゃないですか!

絶対にまともな顔で言えない。

掲示板に書き込んだ彼も、

実際に

「あなたはどうしてそんなにタフで優しいの?」

などと聞かれたら、

喜びを隠しきれず、ニタニタしながら、

「えへへへ、タフでなければ生きていけない、、、
えーと、優しくなければ生きる資格がない、えへへへ」

とデレデレしながら答えることでしょう。

ハードボイルドって難しい。

それは人生の渋みをかもしだせる中年、老人に許された

世界なのかもしれません。





戻る
バックナンバー